韓国特別検察官 尹錫悦前大統領の夫人と韓悳洙前首相を起訴 

2025/08/29 更新: 2025/08/29

韓国の特別検察官チームは8月29日、尹錫悦前大統領の妻・金建希と韓悳洙前首相を正式に起訴したと発表した。金氏は収賄や金融・政治資金法違反の疑いで、韓氏は2024年末に発令された戒厳令推進への関与などの疑いがもたれている。

前大統領夫人・金建希氏

検察によると、金氏は政財界の人脈を通じて、統一教会元幹部らからブランド品や宝飾品、現金などを受け取り、見返りに便宜を図ったとされる。また資本市場に不正に関与した疑いもある。有罪となれば、数年の実刑判決を受ける可能性がある。

金氏は弁護士を通じて「国民に心配をかけた」ことを謝罪するとコメントしたが、主要な容疑は否認。裏付けのない疑惑が「確定的な事実のように」報じられていると批判し、「真摯に裁判に臨む」としている。

韓悳洙前首相

一方、韓氏は2024年12月に尹前大統領が突然戒厳を宣言した際、国務会議で大統領命令を通過させ、手続き上の正当性を与えようとしたとされる。さらに、文書の改ざんや偽証にも関与した疑いがある。ただし、ソウル中央地裁は8月27日、「逃亡や証拠隠滅の恐れは小さい」として逮捕状請求を退けた。

戒厳令と政局の混乱

2024年12月3日、尹前大統領は野党が多数を占める国会に対抗するため、突然戒厳を宣言。数時間で国会により解除されたが、国内は大きな政治危機に陥り、政権の内政・外交は停滞し、経済にも深刻な打撃が及んだ。

今年4月、憲法裁判所は尹氏を罷免。その後の大統領選挙で与党保守勢力が敗北し、尹氏は「内乱罪」などで再逮捕され、現在も裁判が続いている。

新政権を率いる李在明大統領は6月、国会で特別検察官法を成立させ、尹政権時代の不正疑惑に関する全面調査を開始。調査は戒厳令のほか、2023年の水害で海軍兵が死亡した事故の隠蔽疑惑などにも及んでいる。

これまでに数十人が逮捕・起訴されており、その中には金龍顕前国防相も含まれる。金氏は国会が戒厳解除を決議するのを阻止するため、軍を国会に派遣しようとしたとされている。また、今年1月にソウル中央地裁前で発生した衝突事件では、60人以上が別途起訴された。

王君宜
王君宜
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