政府 南海トラフ巨大地震想定した総合防災訓練を実施 

2025/09/01 更新: 2025/09/01

9月1日の「防災の日」に合わせて、政府は南海トラフ巨大地震を想定した総合防災訓練を実施した。今年の訓練は、マグニチュード9.1の巨大地震が和歌山県沖で発生し、西日本から東日本にかけて広範囲で甚大な被害が出るというシナリオで行われた。

訓練では、震度7や震度6強の激しい揺れに加え、太平洋側を中心とする広域に大津波警報が発表されるという状況を想定。昨年の能登半島地震の教訓を踏まえ、冬の夕方に地震が発生したケースも考慮した。

政府は午前8時過ぎに緊急災害対策本部を設置し、初動対応の確認と、関係自治体との連携体制の強化を図った。

また、首都直下地震を想定した防災訓練も埼玉県さいたま市で実施され、マグニチュード7.3、最大震度6強の揺れを想定し、倒壊建物からの救助や避難所の設営訓練などが行われた。訓練では、参加者によるAEDを用いた救命措置の体験や、段ボールベッドの設置といった実践的な取り組みも行われた。

石破首相は閉会式で、「大災害への備えは国民一人ひとりの行動から始まる。各関係機関の練度を高めると同時に、命を守る行動を常に意識してほしい」と呼びかけた。

林官房長官も会見で、防災庁の設置に向けた準備を加速させる方針を表明。来年度中の設置を目指し、平時から災害発生後まで一貫して対応できる体制の構築を進める考えを示した。

南海トラフ巨大地震への備えが急務

政府の地震調査委員会によれば、南海トラフ沿いで今後30年以内にマグニチュード8~9の巨大地震が発生する確率はおよそ80%とされている。

今年3月に見直された被害想定では、最大で29万8千人の死者が出る可能性があり、その多くは津波によるものとしている。また、全壊または焼失する建物は約235万棟、経済被害は270兆円を超えると試算している。

一方で、事前の対策によって被害を大幅に減らすことが可能とされており、すぐに避難を行えば津波による死者数は約7割、建物の耐震化が進めば建物倒壊による死者も8割近く減ると推定している。

「命を守る行動」を日頃から意識

政府は今後も防災訓練や法整備を通じて、国民の防災意識向上を図る方針だ。災害がいつ、どこで発生してもおかしくない中、個人や家庭、地域での備えが問われている。

エポックタイムズ記者。大学では地理学を専攻。主に日本の時事について執筆しています!
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