米がステルス戦闘機「F-35」を派遣 南米の麻薬組織取り締まり

2025/09/10 更新: 2025/09/10

ベネズエラの麻薬犯罪組織を壊滅させるため、トランプ米大統領は最近、カリブ海地域での軍事展開を拡大した。9月8日、大統領はメディアの取材に応じ、この「麻薬撲滅戦争」をさらに強化する可能性があることを示唆した。

同日、ヘグセス国防長官とケイン統合参謀本部議長は予告なしにプエルトリコを訪問。現地で作戦部隊を視察し、マドゥロ政権が関与する麻薬ネットワークを断絶する方針を改めて確認した。

米軍は最近、カリブ海でベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」が運用していた麻薬密輸船を撃破。トランプ大統領は作戦成功を受けて、「これは米国に麻薬を持ち込もうとするすべての者への警告だ」と述べ、抑止力の強化をアピールした。

さらに7日、トランプ大統領はイランやレバノンの武装組織ヒズボラがベネズエラ国内で麻薬取引に関与し、その資金が国際テロ活動の資金源となっている可能性を指摘。こうした「国家・犯罪・テロの三重構造」を断ち切るため、作戦の大幅な強化を検討していることを明らかにした。

記者から、「大統領はベネズエラ国内の麻薬組織への攻撃を検討されているか?」と尋ねられると、トランプ大統領は「まもなく分かるだろう」と答えた。

5日、米国はF-35ステルス戦闘機10機をプエルトリコに派遣するよう命じた。

また、記者が「もしベネズエラが再び米海軍艦艇の上空を戦闘機で飛行した場合、どうなるか?」と問うと、トランプ大統領は「彼らは大きなトラブルに直面することになるだろう。我々は既に警告している。もし本当に米軍を危険にさらすのであれば撃墜する」と答えた。

同日、トランプ大統領はマドゥロ政権に対し、カリブ海に展開する米軍の艦隊に攻撃しないよう警告。トランプ政権は、現行の政策に基づき、米国は麻薬や国際犯罪組織に対して軍事力を行使できるとしており、すでに国防総省に複数の作戦案を策定するよう指示している。

8日、ヘグセス国防長官とケイン統合参謀本部議長は予告なしにプエルトリコを訪問した。プエルトリコのジェニファー・ゴンザレス知事は両氏を歓迎し、次のように投稿した。「トランプ大統領とその政権に感謝する。彼らは我が国が米国の国家安全保障に対して持つ重要な戦略的価値を認め、またマドゥロ政権が推進する麻薬密売組織に対抗するための我々の努力を評価してくれた」

米側の行動に対し、ベネズエラ政府は7日、沿岸部への部隊配備を大幅に増強し、麻薬密輸防止に取り組むと表明。マドゥロ大統領は、米国の「麻薬撲滅作戦」の実態は、自身の政権転覆を狙ったものだと主張した。

米麻薬取締局(DEA)のブライアン・タウンゼント元捜査官は8日、米FOXニュースに対し、ベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」は「太陽のカルテル(Cartel of the Suns)」と緊密に協力しており、このカルテルはベネズエラ軍上層部が関与する麻薬ネットワークで、ヒズボラとともにコカイン密輸に深く関与している疑いがあると述べた。

さらに、「ヒズボラはネットワークの構築や資金洗浄を担当し、得られた資金を中東に移し、現地での活動資金としている」と指摘した。

またイスラエル国家安全保障研究所(INSS)の上級研究員、ダニー・シトリノシトリノウィッチ氏は「もしマドゥロ政権が崩壊すれば、イランはラテンアメリカにおける最重要拠点を失うことになる」との見方を示した。

専門家らは、ベネズエラにおけるヒズボラの麻薬ネットワークは、もはや局所的な問題にとどまらず、米国本土の安全保障に対する直接的な脅威となっていると強調している。

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