ラトニック米商務長官は、アメリカの関税が15%を超える場合でも主に外国政府がその負担を引き受け、中国が大部分を担っていると説明し、米中貿易や関税政策の仕組みを解説した。
「中国は平均52%の関税を負担している。しかし中国政府がその大半を吸収している。そのため中国を含めると全体の平均は高くなるが、実際には中国政府が大きなコストを引き受けている」と、ラトニック長官は9月11日に米ニュース専門局CNBCの「Squawk on the Street」で語った。
ラトニック長官によれば、多くの国は15%を超える関税を課していない。仮に課した場合でも、外国政府は自国企業を支援し、より良い条件を模索している間、事業継続を助けているという。
関税負担仕組み
「仕組みは明確である。10%以下の関税は製造業者、流通業者、事業者が負担する。消費者は負担しない。販売業者は価格を上げれば売上が減少すると考えるため、自らコストを引き受ける」と述べた。
また、関税率が10〜15%の場合には、流通業者とメーカーが6対4の割合で負担し、15%の関税はおよそ2%の価格上昇につながると説明した。
「15%を超えると誰も担うことはできない。政府の補助がなければ困難である」と指摘した。「自動車関税が25%のとき、ヨーロッパ、日本、韓国の政府は雇用への影響を避けるため、合意成立前に補助を行っていた」と述べた。
さらに、「忘れてはならないのは、これらが重大な問題であるという点である。我々の大統領はアメリカのために大きな一手を打っている。しかし国によっては小さな措置をとって自国の利益を守る政府もある」と述べ、関税による価格上昇が一般市民に直接波及しない仕組みを説明した。
「われわれの平均関税率は決して高くない。世界の大半は15%未満である」と強調した。
成立間近の協議
ラトニック長官は、アメリカが「台湾との大型協議を控えている」と指摘し、スイスとも近く合意に達すると予測した。さらに、インドがロシア産石油の購入を停止すれば、インドとの合意成立の可能性もあると述べた。
今月初め、トランプ米大統領は、インドのモディ首相が中国やロシアの首脳と会談に出席し、制裁対象のロシア産石油購入を正当化したことを批判した。その後1週間以内に、モディ首相とトランプ大統領はSNS上で会談予定を公表し、経済関係修復への楽観的な姿勢を示した。
ラトニック長官は「日本とヨーロッパ連合(EU)は良好な取引相手である」と述べた。また、アメリカと韓国は合意に達しているが、最終署名には至っていないと説明した。
「彼らが手続きを完了するかどうかを見守りたい。大統領と握手を交わすことと、実際に署名することは別問題である」と述べた。
さらに、トランプ大統領の関税戦略によって各国の交渉姿勢が変化したと指摘した。日本とEUとの合意を例に挙げ、ヨーロッパはアメリカ製自動車の無関税輸入を受け入れたのに対し、日本人が文化的にアメリカ車に馴染みがなかったと説明。その代わりに日本は、トランプ政権期に総額5500億ドル規模のアメリカ国内プロジェクトへの投資を約束した。これが事実上「関税負担を回避する」形となり、日本国民の税負担にはつながらなかったと述べた。
関税収入と工場建設のブーム
「関税によって毎月400億ドルが歳入として入り、財政赤字削減につながっている」と強調した。将来、「年間7千億ドル規模に達し、経済成長とともに1兆ドル規模に拡大すると大統領は述べている」とも語った。
さらに、来年第1四半期には建設ブームが訪れ、新工場建設への投資が約10兆ドル規模に達すると予測した。これにより稼働前から国内総生産(GDP)が押し上げられるとの見方を示した。
「前例のない規模でアメリカ国内に工場が建設される光景を目にすることになるだろう」と語った。
米連邦控訴裁判所はトランプ政権の関税適用を違法と判断したが、ラトニック長官は「政権側は極めて自信を持っている」と述べ、判決は控訴審で覆される可能性が高いとの見方を示した。また、4人の裁判官による反対意見に触れ、彼らが「外交政策、すなわち交渉の裁量は大統領の権限である」という立場を支持していると説明した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。