テスラ株 4月安値比で85%高 年初来の下落分を取り戻す

2025/09/16 更新: 2025/09/16

米EV大手テスラの株が年初来の下落を取り戻し、初めてプラス圏に浮上した。15日の米株式市場で同社株は前日比3.6%高の410.26ドルと続伸し、昨年末の水準を上回った。4月4日に年初来安値の221.86ドルを付けてから、上昇率は85%に達する。

株高を後押ししたのは、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が自らのファミリー財団を通じて 約10億ドル相当の株式を取得したとの報道だ。

テスラは第1四半期に業績不振に陥り、4月初めにはトランプ米大統領による全面的な相互関税の発表を受けて株価が急落した。市場関係者は、これは歯に衣着せぬ発言で知られるマスク氏による将来への信任表明だと評価している。

テスラ株は2024年初めに一時29%下落したものの、その後持ち直し、通年では63%高と大幅な上昇を記録していた。

直近では、取締役会がマスク氏向けに新たな報酬案を検討している。複数の野心的な業績目標を達成すれば、今後10年間で最大 1兆ドル規模の株式報酬が得られる可能性がある。

さらに、同社が新開発した大型蓄電池「MegaBlocks」など新製品も市場の注目を集めている。電力コスト削減や再生可能エネルギーの効率的利用に寄与すると期待される。

一方で、2025年に入ってからのテスラ株は主要ハイテク株の中で依然低調で、アップル(マイナス5%)に次いで下落率が大きい。

同社は、製品ラインナップの陳腐化や中国の低価格EVメーカー、特にBYDとの競争激化を受け、複数四半期にわたり販売の低迷に直面している。

マスク氏は将来構想として自動運転タクシー事業を強調しているが、米政府によるEV購入補助が9月末で終了することを警告し、「今後数四半期は厳しい時期を迎える可能性がある」と認めている。

テスラ経営陣は投資家の関心を新規事業に向けようと努めており、自動運転タクシーや人型ロボット「Optimus」などを打ち出している。ただし、現在のところテスラは「完全自動運転で人間の介入が不要、必要時のみ人が引き継げる車両」をまだ市場に投入していない。Optimusについても、工場作業から子守まで幅広い任務をこなせると宣伝しているが、実際の市場投入までは時間がかかる見通しだ。

林燕
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