「イグ・ノーベル賞」が米ボストン大学で18日(日本時間19日)発表され、生物学賞に日本人の研究チームが選出された。日本人の受賞は19年連続となる。
シマウマの白と黒の縞模様には虫よけの効果があるという海外の研究結果をもとに、黒毛のウシにシマウマと同じ縞模様をつけた場合の効果を検証し、模様のないウシなどと比較した。
アブやサシバエなどの付着数が通常の牛は平均128匹、黒く塗った牛は111匹だったところが、シマウマ模様の牛は55匹にとどまったとされる。また、首や尻尾を振るような虫を払う行動の回数も減ったとされる。
ハエは牛にとってストレスになるほか、虫刺されによる感染症をもたらす存在である。餌を食べる量や乳量が減り、経済的な損失もある。
イグ・ノーベル賞は、1991年にハーバード大学で創設されたユーモアあふれる賞で、「人々をまず笑わせ、次に考えさせる」研究を表彰する。
日本人の受賞は19年連続
日本人の研究者はユニークな発想で数々のイグ・ノーベル賞を受賞してきた。1995年には、慶應義塾大学の渡辺茂教授らが「ハトにモネとピカソの絵を区別させることに成功した研究」で心理学賞を受賞。この実験は動物の知覚や学習能力に関する理解を深めるものであった。
1992年には、資生堂の研究者らが「人間の足の悪臭の化学的成分を解明した研究」で医学賞を受賞。日常的な現象を科学的に追究した例として注目された。
2011年には、嗅覚を利用した火災警報器の開発が化学賞を受賞。聴覚障害者でも気づけるように「わさびの強烈な匂い」を用いて警報を発する装置で、実用化の可能性がある研究として高く評価された。
2020年には、京都大学などの研究者グループが「ワニ(アリゲーター)にヘリウムを吸わせ、その鳴き声の変化を調べた研究」で音響学賞を受賞。動物の発声メカニズムや進化を探るうえで重要な成果となった。
こうした成果は一見ユーモラスだが、実際には安全技術や医療など実用的な分野に貢献するものであり、日本人の着想力の豊かさを世界に示している。
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