米議員団 6年ぶりに中国訪問 李強首相と会談

2025/09/22 更新: 2025/09/22

アメリカの超党派議員団が9月21日、中国共産党(中共)の李強首相と会談した。下院議員による中国訪問は6年ぶりとなった。

李首相は冒頭のあいさつで、今回の訪問を「氷を砕く旅」と表現し、両国関係をさらに深める契機になるとの期待を示した。

米下院軍事委員会の筆頭理事を務めるアダム・スミス議員は代表団を率いて訪中。同氏は米中の対立は対話を通じて解決することが重要だと強調し、「最優先は確かに貿易と経済問題だ」と述べ、代表団としては軍同士の対話も重要な課題に位置付けていると付け加えた。

 「軍事委員会の一員として、両国軍の意思疎通が十分に行われていない現状を深く懸念している」と語った。

デービッド・パデュー在中国米国大使も同席し、「この超党派の議員団は米中関係の運営において重要な役割を担っている」とXに投稿した。

今回の訪問には、スミス氏のほか、下院軍事委員会所属のロー・カンナ議員、クリッシー・フーレハン、下院外交委員会所属のマイケル・バウムガートナー議員が同行した。

米中首脳の電話会談と今後の予定

今回の訪問は、直前にトランプ米大統領と習近平が電話会談を行い、緊張緩和を図った直後に実現した。

トランプ氏は会談後、貿易やフェンタニル問題、ロシア・ウクライナ戦争などの課題で進展があったと説明した。

トランプ氏は会談後、米中はAPEC首脳会議(韓国開催)で会談することに合意し、自身は来年初めに訪中し、習近平も適切な時期に訪米するとSNSトゥルース・ソーシャルに投稿した。

前回の訪問と悪化した関係

下院議員が中国を訪問したのは2019年半ば以来で、その際も超党派の「米中ワーキンググループ」代表団が本土2都市と香港で中国当局者やアメリカ企業関係者と会合を持った。

その後、米中関係は静かに悪化した。特に、2019年末に武漢で新型コロナウイルスが発生して以降、緊張が強まった。中共政権は未知のウイルスについて、国際社会に警鐘を鳴らすことなく、医師記者市民による情報発信を封じ込めた結果、国内の感染は世界的なパンデミックへと拡大した。強権的な検閲に加え、新型コロナの起源調査を妨害したことから、アメリカだけでなく欧米諸国全体との関係も悪化した。

また、貿易の不均等や中国から流出するフェンタニル原料の問題も対立の火種となり、トランプ氏が対中関税を引き上げる理由の一つになった。

2023年には、当時の上院多数党院内総務シューマー氏が超党派の上院議員団を率いて上海と北京を訪問。中共幹部との会談で、米企業に公平な競争環境を整えることやフェンタニル原料の流出抑制を求めた。

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