トランプ大統領が語る米中貿易戦争 国家安全保障で関税強化

2025/10/16 更新: 2025/10/16

トランプ米大統領は10月15日、米中がすでに貿易戦争に突入しているとの認識を示した。ホワイトハウスで開かれた記者会見で「われわれはいま、その真っただ中にいる」と述べ、関税を「国家安全保障を守るための最も重要な手段」と強調した。

同時に、スコット・ベッセント財務長官は、中国共産党(中共)が最近実施したレアアースなど重要資源の輸出制限を厳しく非難した。これを「経済的脅迫」と位置づけ、「中国がこの方針を貫けば、結果として世界各国との対立が深まり、最大の打撃を受けるのは中国経済になる」と警告した。

関税は「経済的防衛線」

トランプ氏は会見で、長年にわたる不公正な貿易慣行に対抗するため、関税は不可欠だと主張した。「われわれは100%の関税を課している。もし関税がなければ、防衛手段を失い、弱点をさらけ出すことになる」と語った。

また、中国や欧州連合(EU)が長年アメリカに対して高率の関税を課してきたにもかかわらず、歴代政権はいずれも関税を防衛手段として十分に活用してこなかったと指摘した。「関税はわれわれの防衛であり、国家安全保障にとって極めて重要な手段である。関税を使えなければ、国家安全保障そのものが成り立たない」と述べた。

「中国が信頼を失えば世界はデカップリングへ」

ベッセント氏は、中共政府がレアアースの輸出管理を一段と強化したことに対し、「もし中国政府の一部が失望を招く行動や経済的脅迫によって世界経済の成長を鈍化させようとしているのなら、最大の被害を受けるのは中国経済そのものだ。これは中国が世界に敵対していることを意味する」と強く批判した。

さらに「アメリカや同盟国が北京の一部官僚の指示に従うことも、支配されることもない」と語った。

今週、ワシントンでは国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会が開催され、各国の財務相が集結している。ベッセント氏は「欧州の同盟国、オーストラリア、カナダ、インド、そしてアジアの民主主義国と意見交換を行う」と説明した。

アメリカは中国を敵視するのではなく支援する意向も示しつつ、アメリカとその同盟国が中共に世界のレアアース供給網を支配させることはないと強調。「もし中国が信頼できない世界のパートナーとなるなら、世界はやむを得ず経済的デカップリングを進めざるを得なくなる」と警鐘を鳴らした。

ベッセント氏はさらに「世界はデカップリングを望んでいない。我々は単にリスクを抑えたいだけだ。だが今回のような行動はデカップリングの兆候であり、中国自身もそれを望んでいるとは思わない」と述べた。

「中国が行動を改めれば休戦延長も」

強硬な発言の中にも、アメリカ側は外交的解決の余地を残している。

ベッセント氏は、中国が新たなレアアース輸出規制を停止した場合、中国製品に対する関税の休戦措置を3か月以上延長する可能性があると明らかにした。「より長期の延長もあり得るが、すべては今後数週間の協議で決まる」と述べた。

また、アメリカ通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表もこの計画に懐疑的な見方を示し、「この輸出規制は、微量のレアアースを含むあらゆる消費財の取引を停止させるおそれがある」と指摘した。

グリア氏は「その範囲と規模は想像を絶するもので、実現は到底不可能である」と述べた。

陳霆