于朦朧事件 封鎖の裏に潜む「権力の闇」 ファンが考えた「封鎖突破」の方法

国家ぐるみの封殺とそれに抗う人々の覚醒 中国俳優・于朦朧の真相を求めて

2025/11/03 更新: 2025/11/10

中国の俳優・于朦朧(ユ・モンロン/アラン・ユー、37歳)が9月に突然死亡した。

当局は「酒に酔った末の転落で事件性はない」と発表したが、監禁を示す映像には暴行を受ける様子や悲惨な叫びが記録されている。

芸能界を隠れ蓑にした資本と特権層による資金洗浄や軍需関連ビジネスの闇、臓器取引、そして人体標本ビジネスとの関係など、共産党支配の闇を示す疑惑がネット上で爆発的に広がっている。

于に関する投稿は、一般の書き込みまですべて削除され、彼の名前すら検索できなくなっている。SNSでは「魚」や「傘」の絵文字まで禁止され、関連情報を投稿した人々のアカウントは次々と封鎖された。中には拘束された者もいる。

それでも、彼の無念の死に心を痛め、背後の闇を許せない。そんな思いを抱くファンたちは「この件を終わらせない」と知恵を絞り、それぞれの方法で声を上げ続けている。

 

(【閲覧注意】住民が撮影したとされる映像。監禁中に上がった悲鳴が、于朦朧のものとみられている。悲惨な音声が含まれており、視聴の際は不快に感じる可能性がある)

 

沈黙を強いられる中国では、料理配達の伝票に隠語で事件への注目を呼びかける文が書かれるなど、検閲をかいくぐる動きが広がっている。「于朦朧事件の調査」を求める手紙も次々と当局に届けられ、人々は暗号のような言葉で消された声をつなぎ、それぞれの方法で彼のために声を上げている。

 

左:于朦朧の名を避け、隠語で事件への注目を呼びかける文が印字された宅配料理の伝票。右:「于朦朧事件の調査」を求めて中国の調査機関へ送られた、市民たちの手紙の数々。(ネットより)

 

SNSでは「これが本当の勇気だ」「封鎖は真実を止められない」と共感が拡散。一方、海外でも「于朦朧に正義と公正を」と求める署名が70万人に迫っている。

事件は体制への信頼を根底から揺さぶり、中国社会の意識構造に変化をもたらした。
海外の「退党(共産党組織からの脱退)運動」サイトには「于朦朧事件で中国共産党(中共)の邪悪な本性を知った」との声が相次ぎ、わずか1か月で数十万人が脱退声明を発表。台湾メディア各社も、この「覚醒の波」を社会の転換点として大きく報じた。

 

中国俳優・于朦朧の死について「全面・独立・透明な調査」を求めるAVAAZの署名ページに掲載された于朦朧の写真。写真の隣には「無実の罪」や「不当な死」を象徴する「冤」の字が大きく記されている(AVAAZの署名ページより)

 

背景には、2千万人を超えるフォロワーを抱える、トップ俳優とは言えないまでも、確かな人気を持つ中堅俳優でさえ、虫けらのように葬り去られたという衝撃がある。国家ぐるみの真相隠蔽に対する怒り、そして「自分がもし特権階級の利権に触れたら、同じように消される」という恐怖が社会全体に広がった。

人々は、于朦朧の死を通じて共産党特権層の邪悪さと国家の腐敗の深さを思い知らされた。だからこそ、沈黙することは罪だと感じ、執念でもこの件を終わらせまいと立ち上がっている。彼の死は、恐怖の統治に抗う華人たちの「覚醒」の象徴となりつつある。

こうした流れの中で、華人圏では「这届网民不好惹(この世代のネット民は侮れない)」という言葉が広く使われるようになった。さらに「一个个都是倔角色(みんな一筋縄ではいかない強情者ばかり)」という言葉も広がり、沈黙を強いられても屈しない民衆の象徴となっている。封鎖にも恐怖にも屈せず、知恵と勇気で真実を拡散する人々、その覚醒は、中国社会にとどまらず、世界中の華人たちへと静かに波及している。

 



中国俳優・于朦朧事件 止まらぬ波紋 市民調査が暴いた「国家の闇」

中国俳優・于朦朧事件。警察が動かぬ中、市民が一丸となって真相を追い始めた。国営ホテル、人体標本、臓器狩り…一俳優の死が暴いた「国家の闇」は、いま中国社会全体を揺るがしている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 于朦朧事件