EUが「経済版NATO」設立提唱 中国の経済圧力に結束対応

2025/11/20 更新: 2025/11/20

欧州連合(EU)のカヤ・カラス外交トップが「経済安全保障集団防衛」構想を提唱。中国共産党による経済的圧力に対し、加盟国の連携強化と経済版NATOの設立が求められている。

カヤ・カラス氏は最近、中国共産党(中共)政府が「ウクライナ戦争においてロシアの主な支援者となっている」と強く非難し、一方でEUと中国の経済的な結びつきが、EUの対ロシア制裁措置の効果を制限していると指摘した。

カラス氏はさらに、加盟国のいずれかが中国共産党により経済的圧力を受けた際には、全加盟国が結束して対応すべきであると提案した。

ブルームバーグの報道によれば、EU外交・安全保障政策のトップかつEU副委員長であるカラス氏は11月18日、ブリュッセルでEUが中国共産党に対抗するための代償を払う覚悟がなければ、中共側は引き続き欧州に影響力を行使しうる。これが最大の問題であると発言した。

また、「その代償を支払う意思がなければ、具体的な行動には移せない」と強調した。

これらの発言は、EUが中共に対して、ロシアによる戦争制裁の回避をやめるよう圧力を強める中で行われたものである。EUは10月に複数の中国企業に対し制裁を課している。カラス氏は中国の支援がなければ、この戦争は既に終結していた可能性が高いとの認識を示した。

昨年就任したカラス氏は、中国共産党への毅然とした姿勢を一貫して取っている。今年9月には、中国共産党主導の大規模軍事パレードを公開で批判し、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどを「国際秩序への重大な挑戦を行う政権」と名指しした。

「経済版NATO」設立 中国共産党への対応強化

カラス氏は、ヨーロッパが中国共産党の圧力に対して脆弱となる一因として「結束力の不足」を指摘し、「そのため我々は十分な重みを持って受け止められていない」と述べた。

提案の柱は、NATO第5条の「一国への攻撃は全加盟国への攻撃と見なす」集団防衛の精神を経済領域に取り入れることで、より強固な相互支援体制を築く点にある。

カラス氏は「『経済安全保障集団防衛』が機能すれば、中国共産党がある加盟国に経済的圧力を加えた場合、他の全加盟国が結束して『不当な行為』であると意思表示できるようになるだろう」と述べた。

ドイツのラース・クリングバイル財務大臣は最近北京を訪問。経済交流は行われたものの、クリングバイル氏はEUに対し中国に「一体となった対応」が必要だと呼びかけた。

ドイツ政府は中国への対応を強化している。連邦議会は専門家委員会を設置し、対中貿易政策の見直しを進めている。ショルツ首相は先週、「5Gネットワークで使用されているファーウェイ製部品の交換および、今後の6Gネットワークで中国製部品を用いない」方針を明らかにした。関係当局は「全サプライヤーに同じ安全基準を適用する。これは安全保障問題である」と強調した。

また、カラス氏はロシアによる「国家主導のテロ行為」を厳しく批判した。先週末に発生したポーランドの鉄道インフラを破壊する爆発事件について「極めて深刻な事態」と述べ、「このような行為は社会に不安と恐怖を与えるものだ」と警告した。

EUは11月19日、域内での部隊および軍事装備の調整を強化する新たな防衛・軍事戦略を発表した。

李言
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