米中は現在、脆弱な貿易休戦状態にある。トランプ米大統領は、11月24日に中国共産党党首・習近平と電話会談を行ったことを明らかにしたが、通話の詳細については明らかにしなかった。今回の電話会談は、日中関係が悪化し、さらにアメリカがロシア・ウクライナ戦争の終結を目的とした28項目の和平案を提示した時期と重なる。
トランプ氏は、自身のSNS(トゥルース・ソーシャル)に「ウクライナ・ロシア情勢、フェンタニル問題、大豆やその他の農産品など、多くの議題について協議した。偉大なアメリカの農業関係者のために、重要で非常に意義のある合意に達成した。今後はますます良くなっていくだろう」と投稿した。
トランプ氏はまた「今回の通話は、3週間前に韓国で成功裏に行われた会談のフォローアップである」とも述べた。
さらにトランプ氏は、習近平からの招待を受け入れ、来年4月に北京を訪問する計画であることを明らかにした。同時に、来年後半に習近平をアメリカに招待したことも話した。
一方、中国共産党(中共)の官製メディアは、両者が米中関係やウクライナ問題に加えて、台湾問題についても話し合ったと大きく報じている。しかし、トランプ氏の投稿には台湾問題への言及はなかった。
AP通信によると、習近平は通話の中で「中国とアメリカは、反ファシズムおよび軍国主義に対抗する戦争で肩を並べて戦った。両国は第二次世界大戦の勝利を共に守らなければならない」と述べたとしている。
ただし、当時の「中国」とは中華民国のことであり、その時点で中共はまだ政権を樹立していなかった。
習近平とトランプ氏が実際に台湾問題に言及したかどうかは、現時点では外部から確認できない。中共の官製メディアが一方的な報道のみを伝えている状況である。
台湾の通信社「中央通訊社」の報道によると、日中関係の緊張と悪化が続く中で、中共側は習近平とトランプ氏の電話会談を利用し、台湾問題をめぐって日本に対し高度な外交的圧力をかけることを狙っているとみられる。
アメリカのジョージ・グラス駐日大使は最近、SNSの「X」上で、日中間のいかなる対立においてもアメリカは日本を支持すると表明した。グラス大使は、北京側の最近の反応は憤慨に値するとも述べている。
グラス氏の発言は、トランプ氏が先月訪日した際に、高市早苗首相に対し「どのような支援でも提供する」と約束した姿勢とも軌を一にしている。
高市氏は11月7日の国会答弁で、台湾有事が集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態になりうる」と語った。
この発言に対して中共は激しく反発し、威嚇や脅迫、さらには制裁などの手段を連続して打ち出すことで、高市内閣に「台湾有事論」を撤回させようと働きかけたが、効果は見えない。
また、今月初めには、台湾外交部が「トランプ政権が総額3億3千万ドル(約480億円)の対台湾武器売却を承認した」と発表した。売却の内容には戦闘機の部品などが含まれている。これに対し中共は直ちに抗議し「一つの中国の原則に深刻に違反している」と非難した。
アメリカの現行法によると、アメリカ政府には台湾に対して、いかなる武力攻撃も抑止するための十分な軍事装備を提供する義務がある。
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