中国の前駆体輸出停止で麻薬カルテル混乱 FBI長官が協力の進展を語る

2025/11/28 更新: 2025/11/28

FBIのカシュ・パテル長官は、中国がフェンタニル前駆体化学物質の輸出を停止したことで、メキシコ、ベネズエラ、コロンビアのカルテルが代替品を探して右往左往しているが「代わりになるものは存在しない」と述べた。

パテル氏は、29日(米東部時間)にEpochTVで放送される独占インタビューで「我々は彼らがどこにいて、誰で、どうやってそれを行っているのかを把握している。そして彼らを監視し、調査すると、フェンタニルを製造するために必要な原料や装置が手に入らないと不満を漏らしているのが分かるのだ」と語った。また「こうした不満が出るのは、ここ数年では初めてのことだ」とも述べた。

11月上旬、パテル氏は米中韓の三者会談後、中国がフェンタニル前駆体の輸出抑制に関する合意を履行するための物流面の協議のために訪中した。結果として、フェンタニルの前駆体13種類と追加の化学物質7種類の輸出禁止が実現した。

国内では、トランプ政権下のFBIが暴力犯罪の取り締まりを強化しており、パテル氏はこれをアプローチにおける「大変革」と表現している。地方事務所への権限委譲と人員増強により、今年は3万件の逮捕(うち2万5千件は暴力犯罪者)を達成しており、年間で倍増している。また殺人件数も大幅に減少しているという。

フェンタニル、人身売買、金融犯罪といった重点任務の一部は国際協力を必要とする。

世界的なフェンタニルネットワーク

パテル氏はフェンタニル問題は世界的課題だと述べ、中国以外にも複数のアジア諸国を訪れたことに触れた。
「問題は中国だけではない。我々はインドのパートナーと協力し、そこを経由する輸送を阻止することに成功している。この目的のために今回の訪問では日本にも行った」と語った。

日本訪問では法執行協力と引き渡しに関する合意が進み「5年ぶりに」アメリカへの引き渡しが可能になったという。前駆体の供給を止めたことは即時の効果をもたらしたとパテル氏は述べる。

「そのパイプラインが遮断されたことで、麻薬密売人は代替品を探して右往左往している。我々はそれを確認している」とし、「しかし良いニュースはこうだ。彼らも我々も代替品が存在しないと分かっている。だからこそ、このリストを作成したのだ」と語った。

トランプ政権1期目の終わりに、トランプ大統領は中国からアメリカへのフェンタニル輸出制限の合意を取り付けた。しかしその後、中国の化学企業がメキシコの密売人に前駆体や錠剤製造機を販売し始めたため、フェンタニル密輸は急増した。

「これは2期目での第二段階であり、前駆体を遮断することで『蛇の頭を切り落とす』ようなものだ」とパテル氏は述べた。

中国訪問

パテル氏は、中国公安省のカウンターパートとの会談は「やや超現実的な経験」であったと振り返った。

会談に際し、全ての問題で中国側と完全に一致することはないと理解していたが、双方の国家元首から与えられた使命は「メキシコでの麻薬組織がアメリカ人を死に至らしめるために使用しているフェンタニル前駆体を遮断すること」であり、これについては即座に合意に達したという。

パテル氏は訪中前の半年間、電話やビデオ通話を通して中国の法執行当局とフェンタニル問題でやり取りしており、その結果、9月1日にいくつかの前駆体が輸出規制され、11月10日にはより広範な規制を発表した。

「我々はフェンタニルを構成する全13種類の前駆体を完全に止め、フェンタニルを致死的かつ依存性の高い薬物へと変化させる7種類の化学物質を完全に規制することに成功した」と述べた。

パテル氏は、中国側の協力は関税引き下げ(20%から10%へ)と結びついており、今回こそ約束が守られるよう継続的な連絡体制が敷かれていると説明した。

「彼らは継続的に成果を示すためにテーブルにつかなければならない。必要とあれば私は再び中国へ行く」と述べた。

さらに、政権のフェンタニル対策は「政府全体での取り組み」であり、この合意履行についての中国側との連絡窓口は自分であると強調した。

「もし彼らが合意に違反したら、私は財務省のスコット・ベセントに電話するし、国防省のピート・ヘグセスにも連絡する」「財務省のパートナーによる制裁や外国資産管理室(OFAC)の指定も含め、協力体制が整っている。我々は政府全体で取り組み、彼らが合意を守るよう確実にしている。もし守らなければ、我々が最初に指摘する」とパテル氏は述べた。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。
エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
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