中国共産党が世界的な規模で拡張を続ける野心と、それに伴う国際安全保障上の脅威が懸念される中、多くの国々が戦略の見直しを加速させている。重要な原材料や産業サプライチェーン、国家主権、民主制度などの面で、中共からの圧力を回避することが目的だ。EUやインドネシア、ドイツ、カナダが相次いで警鐘を鳴らし、中共の影響力に対抗する世界的な動きが本格化している。
欧州委員会は最近、重要な原材料において中共への過度な依存を段階的に減らすための一連の措置を打ち出す予定である。
EUは12月3日に新たな「経済安全保障戦略」草案を公表する見通しで、その中核に据えるのが「リソースEU計画」だ。EUの関係者によると、最も迅速な対応策として、EUの予算から直ちに30億ユーロ(約4800億円)を拠出し、レアアースやリチウムなどの重要物資の生産を集中的に強化する方針だという。さらにEUは、加盟国と連携して重要な原材料を共同で調達・備蓄するための試験的なメカニズムを立ち上げ、交渉力の強化と供給の安定確保を目指している。
一方、インドネシアでは最近、中国のステンレス鋼大手「青山集団」が支配・運営している私設空港が発見された。インドネシアの国防相は、この空港が長年にわたり国家の監督を受けておらず、「国の中にある国」のような状態になっていると警告し、主権と経済安全保障への重大な脅威であると懸念を表明した。
青山集団のインドネシア事業は、中共の「一帯一路」構想の支援を受けて進められてきた。私設空港の発覚を受け、インドネシア政府は空港の許可を緊急に取り消し、徹底した調査を行う方針を明らかにしている。
ドイツの復興金融公庫(KfW)は報告書の中で、現在ドイツ産業が抱える多くの問題は「外国政府、特に中共による干渉」に起因すると指摘した。同公庫はドイツ政府に対し、関税の導入や特定国への過度な経済依存の是正、煩雑な官僚手続きの改革、エネルギーコストの削減などの措置を検討し、中共による長期的な影響を回避するよう求めている。
また、中国問題の研究者であり、カナダの作家でもあるチャールズ・バートン氏は、新著の発表会で、カナダが天然資源や商品の輸出において中共に過度に依存すれば、中共による経済的な威圧にさらされる危険があると警告した。
バートン氏はさらに、カナダ政府が越境迫害や外国勢力による干渉への対応が遅れていることを問題視し、その結果、中共がカナダ国内で事実上自由に活動していると批判している。
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