島根県の酒造メーカー・赤名酒造が製造する日本酒「絹乃峰」が、中国で第三者によって商標登録されている。赤名酒造は、現地での販売展開は行っていないにもかかわらず、酒類やマーケティング関連の分類で「絹乃峰」の商標が登録されたことを確認。同社はSNS上で注意喚起を行い、現在は国やJETROと連携して対応を検討しているという。
同様事例過去にも 無印良品や伊藤園も影響受ける
中国における「商標の先取り」は、これまでにも複数の日本企業が影響を受けてきた。無印良品は1990年代に商標を第三者に取得され、中国進出時に本来のブランド名が使用できず、長年にわたる訴訟に発展した。最終的には現地企業側の商標が有効と認められる結果となっている。
伊藤園もまた、同様に「ITO EN」や「伊藤園」の商標が中国で先に出願されたことで、後の対応を迫られた。
これらのブランドはいずれも日本では広く認知されているにもかかわらず、中国市場では商標権を認められず、大きな影響を受けた事例として知られている。
日本酒など地域ブランドも対象に
今回の「絹乃峰」も、国内では長年地元に根付いた日本酒ブランドとして親しまれているが、中国で第三者によって登録されたことで、将来的な現地展開に支障を来す可能性がある。
商標を先取りされた場合、正規のブランドであっても現地で名称が使用できなくなったり、類似品や模倣品が出回ることでブランドの信頼性が損なわれたりする。また、輸出時に本物の商品であっても「偽物」と判断されるリスクもある。さらに、商標の無効を争う審判請求や、登録を買い戻すためには多大な時間と費用がかかることも問題視されている。
とくに日本酒や伝統食品のように、名称そのものが地域性や歴史的背景を含み、ブランド価値の中核を成すような商品では、こうした商標の先取り行為に対して、早期の対策と警戒がより一層求められている。
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