政府は、自動車を巡る補助金制度と税制の見直し方針を示している。EVなどの購入を後押しする補助金は拡充する一方、車を保有する際の税負担については、EVを含めた見直しに踏み込む内容となっている。
読売新聞によると、政府は「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を2026年1月から見直す方針を固めた。EVの補助金上限は現行の90万円から130万円に引き上げ、プラグインハイブリッド車(PHV)も60万円から85万円に増額する。一方、燃料電池車(FCV)は255万円から150万円に減額し、エコカー間で補助金水準を平均的な車両価格の約2割にそろえる。軽EVは58万円で据え置く。新制度は2026年1月1日以降に登録される車両が対象で、FCVの減額は同年4月以降に適用する。
2026年1~3月には、評価の高い車種を対象に補助額を一時的に引き上げ、トヨタ自動車のEV「bZ4X」やレクサスのEVなどには上限の130万円が適用される見通しだ。
税制面では、自動車重量税の軽減措置である「エコカー減税」を2028年4月末まで2年間延長する。EVやFCV、PHVなどは、引き続き2回目の車検まで免税とする一方、ガソリン車やハイブリッド車については、減税の基準を引き上げ、対象を絞る。
購入時の税負担については、自動車税の「環境性能割」を2026年度と2027年度の2年間凍結する。環境性能割は車の購入時に課される税金で、凍結期間中は実質的に負担がなくなる。減収分は国費で補填する。
一方で、EVとPHVについては方針を固めた。政府は「パワートレイン間の税負担の公平性」を理由に、自動車重量税に「特例加算分」を設け、2028年5月1日以降に車検を受けるEVとPHVから徴収する方針である。
自家用EV・PHVの所有者は、従来の自動車重量税に加えて「特例加算分」を支払うことになるため、EV・PHVの保有コストは現行より確実に増える形となる。EVはガソリンを使用しないため燃料税負担がない点を考慮した対応とされ、具体的な金額は今後、ガソリン車利用者の燃料税負担などを踏まえて決める。
自動車業界や経済産業省が求めていた新たな保有税の創設など、税制の抜本改革は今回も見送られた。営業用のバスやトラックの税率を自家用車より低くする「営自格差」についても、結論は2027年度以降に持ち越される。
こうした方針を巡っては、自民党税制調査会の会合で「EVは普及途上なのに課税するのか」「抜本的な見直しになっていない」といった意見が相次いだ。税制関連法案の成立には野党の協力も必要で、今後の国会審議を通じて修正される可能性もある。
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