ロシア軍参謀本部高官 モスクワで爆殺 捜査当局はウクライナ関与も視野

2025/12/23 更新: 2025/12/23

12月22日、モスクワで、車の下に仕掛けられた爆弾が爆発し、ロシア軍の高級将校1人が死亡した。

ロシア連邦捜査委員会のスヴェトラーナ・ペトレンコ報道官は22日の朝、国営通信タスに対し、ファニル・サルヴァロフ中将の死亡を確認した。

ペトレンコ氏は「捜査によると、12月22日の朝、モスクワのヤセネヴァヤ通りで、車の下に設置されていた爆発装置が作動した。ロシア軍参謀本部作戦訓練総局長のファニル・サルヴァロフ中将が、爆発による負傷が原因で死亡した」と述べた。

モスクワ市捜査委員会本部は、公共の安全に危険を及ぼす方法による殺人に該当する刑法第105条第2項、爆発物の違法流通に関する第222.1条に基づき、刑事事件を立件したという。

また同報道官は、捜査当局がこの殺害事件に関して複数の可能性を追っているとしたうえで、その一つとして「この犯罪はウクライナの治安機関によって組織されたものだ」という見方があると述べた。

タス通信によると、サルヴァロフ氏はロシア軍参謀本部作戦訓練総局の局長を務めており、軍歴の大半をモスクワの軍部で過ごした。勇気勲章、スヴォーロフ勲章、祖国功労勲章一級および二級を授与されているという。

クレムリンのペスコフ報道官は、プーチン大統領がサルヴァロフ氏の死亡について直ちに報告を受けたと述べた。

ウクライナ文化省の管轄下で活動する戦略コミュニケーションセンター「スプラヴディ」は、Xでサルヴァロフの死亡に言及した。

「ロシアの将軍たちは、ロシア国内で引き続き爆死している。本日、モスクワでまた一人が加わった」
「ファニル・サルヴァロフ中将は、今朝午前7時、車が爆発して死亡した。数多くの残虐行為に責任を負っており、ジョージア、チェチェン、シリア、ウクライナ侵攻時の作戦に参加していた。彼は、もはやこれらのいずれも行うことはない」

ロシア軍上層部の人物が爆弾攻撃によって殺害されるのは、今回が初めてではない。

1年前の2024年12月17日には、核・生物・化学防護部隊の司令官だったイーゴリ・キリロフ中将が、自宅アパートの外に置かれていた電動スクーターに仕掛けられた爆弾により殺害され、その攻撃で助手も死亡した。ウクライナ保安庁はこの攻撃について犯行声明を出している。

キリロフ殺害については、ウクライナの治安機関のために行動したとして、ウズベキスタン国籍の男が逮捕・起訴された。

さらに今年4月には、ロシア軍参謀本部作戦総局の副局長だったヤロスラフ・モスカリク中将も、モスクワ郊外の自宅付近で車爆弾によって殺害された。

サルヴァロフ氏の死亡は、戦争終結を目指し、アメリカ当局者がロシアおよびウクライナ当局者とそれぞれ会談していた時期と重なった。

アメリカ側は、19日にウクライナおよび欧州の当局者と、20日にはロシア当局者と、フロリダ州マイアミで会談を行った。

米和平問題担当特使スティーブ・ウィトコフ氏は12月21日、Xに
「過去2日間にわたり、ロシアの特使キリル・ドミトリエフ氏が、トランプ大統領のウクライナ和平計画を前進させるため、米代表団と生産的かつ建設的な会談を行った」と投稿した。

さらに「ロシアはウクライナにおける和平達成に完全にコミットしている。ロシアは、ウクライナ紛争を解決し、世界的な安全保障を再構築するための、アメリカの努力と支援を高く評価している」とも記した。

これに先立つ投稿で同氏は、
「ウクライナもまた、公正で持続可能な平和の達成に完全にコミットしている」
と述べ、協議は
「次の段階のタイムラインおよび手順について議論することに焦点を当てた」
と説明した。

ドミトリエフ氏はその後、海を望むマイアミのバルコニーで撮影した自身の写真をXに投稿した。Tシャツには「Next Time In Moscow(次はモスクワで)」というスローガン、ロシアの双頭の鷲、そしてプーチン大統領の署名が描かれていた。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は12月20日、アメリカがウクライナとロシアの代表を同じ交渉の場に戻す和平協議の形式を提案したと述べた。

ゼレンスキー氏は記者団に対し、この三者会談は、ウクライナ国家安全保障・国防会議書記のルステム・ウメロフ氏と、米露側の対応する高官レベルで行われる見通しだと説明した。

ゼレンスキー氏は、この提案についてそれ以上の詳細は明らかにせず、そのような会合が新しい要素をもたらすかどうかについては懐疑的だとしつつも、国家安全保障顧問レベルの会談がさらなる協議につながる、あるいは三者による首脳級会談への道を開くのであれば、アメリカの提案を支持すると述べた。

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