韓国 戒厳令問題で初判決 尹前大統領に懲役5年

2026/01/16 更新: 2026/01/16

ソウル中央地方法院は16日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が2024年末に戒厳令を発令したことをめぐる一部の起訴内容について判決を言い渡し、懲役5年の実刑判決を下した。

戒厳令をめぐっては複数の刑事裁判が進行しているが、今回の判決は関連事件で初めて言い渡された司法判断となる。裁判所は、尹錫悦が職権を乱用して内閣の憲法上の機能を妨害したこと、逮捕令状の執行を妨害したこと、公文書を偽造・廃棄したことなどの罪が成立すると認定した。

判決によると、尹錫悦は2025年1月3日、大統領警護処の要員を動員し、高位公職者犯罪捜査処が大統領官邸で逮捕令状を執行するのを妨害したとされ、これは加重公務執行妨害に当たると判断された。

判決言い渡しにあたり、裁判長は「被告には憲法と法律を守る義務があったにもかかわらず、それに背いた」と述べた。

さらに裁判所は、尹錫悦の行動が国家を深刻な政治的危機に陥れたと指摘し、審理を通じて「終始、反省の態度が見られなかった」とも言及した。

特別検察官は、「国家機関の私物化」によって不正行為を覆い隠したとして懲役10年を求刑していたが、裁判所は最終的に懲役5年が相当と判断した。

尹錫悦は判決後、直ちに公の場でコメントしていない。ただし、これまで弁護団は、検察の起訴は政治的動機に基づくもので、法的根拠に乏しく、10年という刑期は「過度」だと主張してきた。

尹錫悦自身も公判を通じてすべての容疑を否認し、逮捕令状そのものが無効であり、戒厳令の発令手続きにも瑕疵はなかったと主張している。

戒厳令の動機について、尹錫悦は長期政権を目的としたものではなく、「自由派が支配し、国政運営を妨げている国会」の危険性を国民に警告するためだったと説明してきた。

裁判所は判決の中で、尹錫悦が2024年12月3日に戒厳令を発令した際、内閣の一部の構成員のみを招集し、現職の閣僚7人を意図的に会議から排除していた点を重視した。この行為は、閣僚が憲法に基づき有する審議権を侵害したと認定した。

また裁判所は、尹錫悦が韓悳洙(ハン・ドクス)前首相、金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相と共謀し、戒厳令に関する文書を偽造したうえで、後にこれを廃棄したとも認定した。

判決当日、裁判所の外には約100人の支持者が集まり、国旗を振り、「尹錫悦、再起せよ。韓国を再び偉大に(Yoon, again! Make Korea great again)」と書かれた赤い横断幕を掲げて抗議した。

昨年12月に行われた世論調査では、韓国国民の約3割が戒厳令の発動を「内乱罪に当たらない」と考えており、この問題をめぐる社会の深刻な分断が浮き彫りになっている。

今回の判決は、尹被告に対する複数の裁判の序章にすぎない。

尹錫悦は現在、「内乱罪」を含む他の罪でも起訴されており、検察は内乱罪について死刑を求刑している。この裁判の判決は、今年2月に言い渡される予定だ。

法律に基づき、検察・弁護側の双方は、今回の判決について7日以内に控訴することができる。

陳霆
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