張又俠失脚の波紋 台湾情勢への影響はいかに 専門家の分析を整理

2026/01/27 更新: 2026/01/27

張又俠・劉振立の失脚は、今後の台湾海峡の情勢にどのような影響を及ぼすのか。専門家の分析をまとめた。

中国共産党(中共)中央軍事委員会副主席の張又俠と、統合参謀部参謀長の劉振立は国際社会で大きな注目を集めている。張又俠は長年にわたり、中共党首の習近平に最も近い盟友と見なされてきた人物であり、1979年の中越国境紛争に参加した数少ない実戦経験を持つ高級将校の一人でもある。

その張又俠の失脚は、中共軍の指揮系統に亀裂を生じさせ、今後の台湾海峡、さらにはインド太平洋地域全体の情勢に、予測困難な不確実性を加えるものと受け止められている。

台湾国防部傘下のシンクタンク「国防安全研究院」の蘇紫雲所長は、「今回の事態により、習近平が台湾への戦争を発動する可能性は、以前よりもさらに低下したと考えられる」と指摘している。

「もともと台湾有事は容易ではなく、失敗のリスクも高い。四期目を狙う習近平にとって不利な賭けだ。今回、高級将領の粛清が進み、将来の指揮系統に成熟した人材が不足する。戦争発生の確率は下がった」と述べた。

同研究院の助教、鍾志東氏も「現在の軍事委員会メンバーの中には、真の作戦経験を持つ上将が一人もいない。これは台湾への軍事行動、さらには全体的な軍事準備に大きな影響を与える」と分析する。

また、同研究院の研究員である沈明室氏は、今回の摘発について、「張又俠と劉振立が軍権を背景に、全人代(全国人民代表大会)や五中全会で習近平に退陣を迫ろうとした可能性がある」との見方を示す。「習が証拠を掌握した後、直ちに反撃に転じ、反習近平派の軍事的後ろ盾を一掃したのではないか」と分析した。

沈氏はさらに、「三中全会後、張又俠は習近平派の将領を大量に拘束し、反習近平派の将校を多数昇進させた。しかし、そうした反習近平派の将校を短期間のうちに拘束するか、職務を交代させる可能性が高い。一方で、苗華や何衛東、さらには鍾紹軍といった、かつて拘束した人物の名誉回復と復職が行われれば、軍内部の反腐敗勢力の反発を招く恐れがある」と述べた。

蘇紫雲氏は「このような権力闘争が続けば、中共にとって極めて不吉な兆候だ」と警告する。「銃(軍)、金(財政)、刀(治安)、筆(宣伝)のいずれにも問題が生じており、さらなる混乱を引き起こしかねない。党の統治そのものに直接的な脅威となる」と指摘した。

台湾では現在、中共軍指導部の「異常な」人事変動を注視している。

沈明室氏は「仮に苗華や何衛東といった元習近平派の将校が再び表舞台に立てば、習近平が台湾への武力行使準備を命じることがある」とする一方、「彼らは汚職容疑で失脚した経緯があり、現場部隊が果たして信服し、指揮に従うかは疑問だ。軍内の腐敗が深刻な中で、短期間で訓練と準備を整え、台湾に武力行使を行うことは極めて困難だ」と述べた。

台湾国防部の顧立雄部長は26日、「中共の党・政・軍の上層指導部における異常な変動を、引き続き綿密に注視していく」と述べ、「中国はこれまで一度も台湾に対する武力行使を放棄したことはない」と強調した。

沈明室氏はまた、「台湾の防衛が堅固で、適切な抵抗が続けば、戦闘が長期化し、習近平の冒険的行動は国内で失敗と見なされ、政権転覆や退陣要求に直面するリスクが高まる」との見解を示した。

顧立雄部長は、「一度の指導部改編だけで結論を下すことはしない」とした上で、「軍事・非軍事を含むあらゆる指標を把握し、総合的な評価を行う」と述べた。

中国問題評論家の文貫中氏は、「最近の情勢は、軍内部の権力闘争が極めて激しいことを示している」とし、「習近平の党内および軍内での地位は大きく弱体化するだろう。威信回復のために一か八かの行動に出ることは否定できないが、より可能性が高いのは、軍内での地位固めに追われ、台湾への軍事的冒険を先送りすることだ」と分析した。

沈明室氏は、「台湾国内では現在、野党勢力が立法院で一定の影響力を持っている。もし中共軍が武力行使に踏み切れば、これらの勢力は年末の選挙や2028年の選挙で不利な影響を受け、当選できなくなるかもしれない。これは習近平が掲げる『統一』にも影響を及ぼす」と述べた。

顧立雄部長は最後に、「台湾は統合情報、監視、偵察(ISR)手段および情報共有メカニズムを活用し、中国の潜在的意図を把握していく」と語った。

新唐人
関連特集: 中国政治