6日、自民党の高市早苗総裁は鹿児島県鹿児島市に入り、衆議院選挙の自民党公認候補であるみやじ拓馬氏らの応援演説を行った。夕刻の演説会には多くの聴衆が集まり、高市氏は自身の掲げる「日本列島を、強く豊かに。」というスローガンのもと、地方創生と経済安全保障、そして財政政策の大転換について熱く訴えかけた。
「日本列島を、強く豊かに」――地方重視と危機管理投資
演説の中で高市氏は、47都道府県どこに住んでいても安全な生活、質の高い医療・教育、そして雇用が確保される国づくりを目指すと強調した。特に、自身が総務大臣時代に部下であったみやじ拓馬氏との縁に触れ、地方自治の現場を知る人材の重要性を説いた。
具体的な政策として、高市氏は「危機管理投資」の重要性を挙げた。これには健康医療、食料、防災、サイバーセキュリティなどが含まれる。鹿児島県の強みであるお茶や畜産業、さらには市内で行われているがん治療研究などを具体例に挙げ、これらの分野に国が積極的に投資し、技術革新を製品・サービス化して海外展開まで支援することで、国と地方が共に成長できるとのビジョンを示した。
また、女性の健康支援(フェムテック)についても触れ、みやじ氏と連携して推進してきたプロジェクトの成果をアピールし、女性や男性の更年期障害対策など、国民の健康を守る政策への意欲を見せた。
緊縮からの脱却と「責任ある積極財政」
今回の演説で最も注目されたのは、経済政策の転換である。高市氏は、これまでの「行き過ぎた緊縮志向」とコストカットが日本の経済活力を削いだと指摘。新たに「責任ある積極財政」を党の公約に掲げたことを宣言した。

具体的には、予見可能性を高めるための長期的な基金の創設(例:造船基金の10年化)や、国内投資を促進するための政府支出の拡大を訴えた。一方で、28年ぶりにプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化したことにも触れ、財政の持続可能性を維持しつつ、未来への投資を行う姿勢を強調している。
早期解散に込めた「政策転換」への決意
今回の解散総選挙の背景には、高市氏の並々ならぬ政治的決断がある。演説によれば、高市氏は石破前総裁の残り任期を務める形で総理に就任しており、本来であれば来年秋まで任期があった。就任からわずか3ヶ月あまりでの解散となったが、高市氏はこれを「大きな政策転換」について国民の信認を得るためだと説明している。
従来の自民党路線とは一線を画す積極財政への転換は、党内でも議論を呼ぶテーマである。あえて早期に信を問うことで、党内の基盤を固めると同時に、自身の政策遂行のための強力な推進力を得ようとする狙いが透けて見える。
高市路線の定着なるか
選挙戦の行方は、今後の日本経済と自民党の政策方針を大きく左右することになるだろう。
選挙結果の影響
高市氏が訴えるように、与党で過半数を維持できれば、「責任ある積極財政」路線が本格始動することになる。国内投資の活性化や重要物資のサプライチェーン強化に向けた政府支出が拡大し、地方経済や特定産業(半導体、医療、農林水産など)には追い風となる可能性が高い。
財政規律とのバランス
演説ではプライマリーバランスの黒字化に言及し、財政規律への配慮も見せたが、積極財政との両立は容易ではない。選挙後、実際に編成される予算案において、成長投資と財政健全化のバランスをどのように取るかが、市場や国民からの評価の分かれ目となるだろう。
政権基盤の強化
「天下分け目」と表現されるこの選挙で勝利すれば、高市氏は石破路線の継承者ではなく、独自の強力なリーダーシップを持つ総理として長期政権への足場を築くことになる。逆に苦戦すれば、党内からの突き上げが強まり、政策の修正を余儀なくされる可能性も残る。
鹿児島での熱気ある演説は、高市氏がこの選挙に政治生命を懸けていることを物語っている。地方の「宝物」を活かし、国全体を強く豊かにするというメッセージが、有権者にどこまで響くかが勝敗の鍵を握るだろう。
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