習近平 軍首脳部の粛清前に北京衛戍区の掌握を強化

2026/02/08 更新: 2026/02/08

中国指導部は、軍高官2名が突如として粛清される数週間前、長らく空席だった首都の治安維持を担う指揮官ポストを密かに補充していた。この異例の人事異動は、内部の権力闘争に向けた事前準備の合図である可能性があると、アナリストらは大紀元に語った。

1月初旬、前上海武装警察部隊司令官の陳源が、北京衛戍区(ぺきんえいじゅく)の指導部に異動した。同区は中国共産党(中共)の中枢機関を護衛する戦略的に極めて重要な部隊である。このポストは1年近く空席の状態が続いていた。

その2週間足らず後の1月24日、中央軍事委員会(CMC)の張又侠副主席と、同じく軍事委委員の劉振立が解任された。陳の着任時期は、それ以来、強い注目を集めている。

習近平直属の部隊

首都の公式宣伝紙である「北京日報」は、1月14日に開催された党委員会会議において、陳が北京衛戍区の幹部として公の場に姿を現したと報じた。正確な役職は公表されていないが、慣例からすれば司令官に任命されたものと推測される。

53歳の陳は、正規軍ではなく武装警察(武警)系の生え抜き将校であり、この点自体が注目に値する。江蘇省東台出身の彼は、広西および上海の武警部隊司令官を歴任し、2021年に少将に昇進した。

北京衛戍区は、共産党の治安維持機構の中で独自の地位を占めている。体制の「近衛兵」とも称されるこの部隊は、指導部の居住区である中南海の防衛を任務としており、内部危機に際して体制存続のための決定的な役割を果たすと広く信じられている。

2012年に習近平が権力を握って以来、北京衛戍区の首脳交代は異常なほど頻繁に行われてきた。過去10年間で10名近い司令官や政治委員が入れ替わっており、これは過去の慣例を大きく上回るペースである。

陳の前任者である付文化は、かつての瀋陽軍区で張又侠の部下を務めるなど、長年のつながりがあった。付は2025年に昇進・異動したが、その後、司令官ポストは不可解なほど空席のまま放置されていた。

張と劉は、1月20日の重要な党会議を欠席して以降、公の場から姿を消した。内部情報によれば、北京の警戒態勢は強化され、張を拘束しようとした現場の要員と、張の警護官との間で物理的な衝突が起きたという。

アナリストらは、拘束が行われたとされる直前に陳が北京で任命されたことには重大な意味があるとしている。

台湾の国防安全研究院の蘇紫雲所長は、陳の任命は粛清を見越した事前の計画を示唆していると大紀元に語った。蘇氏によれば、もし陳が1月14日までに着任しており、その数日後に張が拘束されたのであれば、それは事前の段取りがあったことを強く示している。張のようなレベルの人物を扱う際、習は自身が信頼する人物で北京衛戍区を固めない限り、動くことはないだろうと蘇氏は分析する。

米国を拠点とする軍事技術アナリストであり、中国語の軍事ニュースYouTubeチャンネル「マーク・スペース」の司会者でもあるマーク・カオ氏は、この人事が公にされたのは、張と劉がすでに失脚した後であったと指摘した。

「これは、習近平が行動を起こす前に、北京の主要な武装勢力の統制を確実にしたことを示唆している」と彼は述べた。

また、陳には疑念の目も向けられている。彼が上海武警司令官を務めていた2023年10月、李克強前首相が上海で急死した。カオ氏は、陳を李の死に結びつける主張は立証されていないとしつつも、陳が処罰ではなく昇進したこと自体が、習が彼の忠誠心に信頼を置いている証拠として体制内部で解釈された可能性があると述べた。

水面下の派閥抗争

国防安全研究院の研究員である沈明室氏は、前任の司令官が張又侠に近かったことから、北京衛戍区の刷新は派閥の再編を反映したものだと大紀元に語った。

中国のメディア「財新」によれば、同様の指導部交代は最近、複数の省軍区でも発生しており、その多くは従来のパターンを破る兵科を越えた異動を伴っている。沈氏は、この刷新の規模は、習が張の恩顧によるネットワークを急速に解体していることを示していると述べた。

「しかし、それは同時に共産党軍内部の士気が不安定であることを意味している」と彼は付け加え、「これにより、台湾に対する武力行使の短期的計画が遅れる可能性がある」とした。

オーストラリア在住の中国人民主活動家で法学者の袁紅氷氏は、習の指導スタイルは深い不信感とパラノイア(被害妄想)に突き動かされていると語った。彼は、現在の粛清サイクルが終了し、軍の指導構造が再建されたとしても、さらなる取り締まりが続くだろうと指摘した。

袁氏は、遅かれ早かれ、次なる粛清の嵐が必然的に吹き荒れるだろうと述べている。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。