中国の警察当局はこのほど、20年間潜伏していた人身売買の容疑者を逮捕したと発表した。しかし、多くのネットユーザーは「見せかけのパフォーマンスではないか」と疑問を呈しており、海外の人権専門家からも中国共産党(中共)体制の腐敗や権威主義こそが、人身売買が横行している根本原因であると指摘している。
3月21日、広州市公安局は「張維平らによる児童の人身売買事件」に重大な進展があったと発表した。事件の中心人物である「梅おばさん」と呼ばれる女(名前は謝)の逮捕を明らかにした。
中国メディアによると、2003年9月~05年12月まで、張維平を中心とする犯罪グループは広東省内各地で活動。誘拐や侵入強奪などの手口で、1〜3歳の男児9人を次々に連れ去り、「梅おばさん」と呼ばれる女が転売を担当していた。
2016年に張維平らは逮捕したが、「梅おばさん」は消息不明のままだった。今回、女を逮捕し、当局は確認の上でこの人物が「梅おばさん」であると発表。ただし、公式報道では顔写真は公開せず、過去の公開手配写真のみを示している。
この発表を受け、人身売買の横行に長年怒りを抱いてきた市民からは関心が集まり、ネット上でトレンド入りした。しかし、多くのネットユーザーは当局の発表に懐疑的で、「公開手配写真だけで本当に逮捕できたのか」「監視カメラが大量にあるのに、なぜこの人物が20年も隠れられるのか」と疑問を呈している。
元中国の人権弁護士・呉紹平氏は「中共政権はすでに社会的信頼を失っており、体裁を整えるために情報を偽造することが日常化している。この事件も真偽が疑わしい」と指摘した。
また、「中共の監視カメラがこれほど多いのは、明らかに国民の安全を守るためではなく、自らの政権を維持するためだ。さもなければ、国民が切実にそれを必要とする決定的な瞬間に、カメラが選択的に機能しなくなるなどあり得ない」と述べた。
呉紹平氏は、中国本土では毎年大量の人口が失踪しており、その一因として、家族が警察に届け出ても、警察が自らの検挙率や実績を守るために、まったく受理しないケースがあると指摘する。
広東省で司法に20年以上関わる王さんは、「中国の警察はまず中共の権力維持、次に社会秩序、そしてようやく国民の生命・財産保護を優先する」と指摘。人身売買事件への対応は二の次であると語る。「命に関わる事件や政治的圧力がかかる場合は介入するが、それ以外は時間稼ぎや隠蔽を行なう」とした。
近年、中国では小学生への強制採血や臓器収奪関連の報道が相次ぎ、失踪事件との関連性を疑う声も根強い。呉紹平氏は、「監視カメラがあるにもかかわらず失踪が続くのは、人身売買や臓器摘出などの不正を隠すためではないか」と指摘している。
『中国失踪人口白書(2020)』によれば、2020年だけで失踪者は約100万人にのぼるとしているが、実際の人数はさらに多い。
先月27日には、著名な人身売買防止活動家・上官正義氏がウェイボーに投稿。河南省周口市の仲介グループによる違法行為を告発したところ、現地警察にスマートフォンを押収される事件も発生した。
呉紹平氏は、「中共体制の腐敗や党利重視の仕組みが、失踪児童や青少年の救出を困難にしている」と述べ、今回の逮捕報道は、より深刻な問題を覆い隠す意図を持つと指摘した。
王さんも「党や上級幹部の利益が一般市民より優先される制度の下では、今日の混乱は明日の別の混乱を生む」と警鐘を鳴らしている。
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