中国とロシアは4月7日、国連安全保障理事会に提出されたホルムズ海峡の航行再開に関する決議案に拒否権を行使し、国際的な協調メカニズムは再び機能しなかった。一方で、米国とイランは土壇場で停戦合意に達した。専門家は、中国が一定の手段でイランを支援する一方、ジレンマに直面しているとの見方を示している。
中国とロシアは7日、国連安保理でホルムズ海峡の航行再開を目的とする決議案に拒否権を行使し、同決議案は否決された。その他の13理事国の採決結果は、賛成11、棄権2であった。
この決議案はバーレーンが起草し、米国が支持したもので、ホルムズ海峡の航行安全の確保を目的としていた。当初の案では「必要なあらゆる防御手段」の行使や、当該海域での海軍行動の実施を認めていたが、中露の反対を受けて数度の修正が行われ、新たな案では各国に対し「実際の状況に即した防御的措置を協調して講じる」ことを促す内容に改められた。
それでもなお、草案から「武力行使の可能性」に関する文言が削除された後も、中国とロシアは反対票を投じた。
米国在住の時事評論員、唐靖遠氏は「最大の理由の一つは、この決議案の採決当日に、トランプ氏がイランに対し、海峡を開放しなければ大規模な攻撃を行うと警告した点にある。この決議案が可決されれば、トランプ氏の対イラン攻撃に事実上のお墨付きを与え、さらには国連による正当化の色彩を帯びる可能性があるため、中露はいかなる形でもそれを避けたかった」と指摘した。
イランのイラヴァニ国連大使は安保理の採決の場で、中国とロシアに公然と謝意を表明した。これにより、中露が再び連携し、国際秩序やエネルギー安全保障を巡る西側諸国の主導権に挑戦する構図が浮き彫りとなった。
軍事系チャンネル「マーク時空」の司会者マーク氏は、「中露はイランを非難したくない。問題の本質は武力行使という言葉の有無ではなく、責任の所在にある。中国はホルムズ海峡封鎖の責任をイランに帰すことを望まず、ウクライナ侵攻でロシアを非難しないのと同様に、責任を米国側に転嫁しようとしている」と述べた。
一方、パキスタンの仲介により、トランプ米大統領は7日夜、SNSへの投稿で米イラン双方が2週間の停戦で合意したと発表した。イランは「即時かつ安全にホルムズ海峡を再開放する」ことに同意した。イラン側も2週間の停戦合意を受け入れ、10項目からなる提案を提示したとしている。
しかしその後、イスラエル軍はイランからのミサイルを探知したと発表した。AP通信や英紙ガーディアンも、停戦発表後もイランによる攻撃が続き、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、イスラエルでミサイル警報が継続していると報じた。
それでも、米国とイランは3日からパキスタンの首都イスラマバードで協議を開始する予定である。イランのアラグチ外相は、2週間の期間中、イラン軍との調整および技術的制約を踏まえ、船舶はホルムズ海峡を安全に通航できると述べた。
マーク氏は「交渉が不調に終われば戦闘が再開される可能性がある。重要なのはイラン国内で穏健派が主導権を握り、軍を統制できるかどうかであり、それが実現しなければ戦火は再燃し、ホルムズ海峡の情勢も大きな不確実性に直面する」との見方を示した。
中国は一定の手段でイランを支援しているとされるが、専門家は中国が難しい立場に置かれていると指摘する。
唐靖遠氏は「中国はイラン問題で慎重なバランスを取らざるを得ない。一方でイランを支援し政権の崩壊を防ぎたいが、他方で過度な関与によりトランプ氏を刺激し、貿易交渉などで対中強硬策を招くことは避けたい。そうなれば中国自身がより大きな損失を被る可能性がある」と述べた。
トランプ大統領は8日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「イランは平和を望んでいる。彼らはもう十分だ。他の国々も同様だ。米国はホルムズ海峡の交通の円滑化を支援する。多くの前向きな措置が講じられるだろう」と投稿した。
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