中共の関与が米・イラン停戦とホルムズ海峡再開通に不透明感

2026/04/11 更新: 2026/04/11

イランに対する中国共産党の利益相反は変わらない公算が大きいと専門家らは指摘する。

 

米国とイランが2週間の停戦合意に達した中、ドナルド・トランプ大統領は中国共産党(中共)政権が交渉推進に役割を果たしたと述べた。しかしイランがホルムズ海峡の一時的な再開通に同意したものの、船舶の通航は依然として大幅に制限されたままだ。

専門家はエポックタイムズに対し、中国共産党政権はイランをめぐって米国と利益相反を抱えており、同政権の関与は海峡再開通および地域の地政学的情勢に不透明感をもたらすと語った。

停戦は4月7日、軍事行動の停止と海峡再開通を目的とした仲介交渉を経て発表された。

合意の詳細は不明確であり、ホルムズ海峡における海運は依然として停滞状態にあると業界関係者は述べている。

アブダビ国営石油会社(ADNOC)のスルタン・アル・ジャベル最高経営責任者はリンクトイン上の4月9日付コメントで、海峡はまだ開通していないと発言し「アクセスは制限され、条件が付けられ、管理されている」と述べている。

パキスタンが主たる仲介国である一方、中共の仲介役も明らかになっている。トランプ氏は4月7日、中共政府がイランに交渉を促す説得をしたと述べた。さらに中共政府はパキスタンと緊密な関係を持つ。中国外務省は4月7日の記者会見で、外相が停戦実現に向けて関係各方面に26回の電話をかけたと発表した。

2025年の公開データによると、中国はイランの輸出石油の80%超を購入している。また米エネルギー情報局(EIA)によれば、中国の原油輸入の約40%がホルムズ海峡を通過する。

米国を拠点とする中国問題アナリスト、唐靖遠氏は、中共政権がパキスタンを通じて水面下でイランに圧力をかけている可能性は十分あると述べた。

「中国共産党は、イランが絡む紛争をめぐって微妙なバランスを保ち続けてきた」と同氏はエポックタイムズに語った。

「停戦を望む主な理由は二つある。一方では、イラン政権をできる限り存続させ、中東で米国を引き続き引き付けておくことを望んでいる。他方、ホルムズ海峡の封鎖が長引けば中共に甚大な打撃を与える。同海峡を通じて輸送される石油・エネルギー供給において、中国が最大のシェアを占めているためだ」

ただし、海峡が事実上イランの巨大な交渉カードとなり、イランが通航料を徴収できる状況になれば、中共は困難な立場に置かれると唐氏は指摘した。

「仮にイランが中共に対して通行料の割引を提供するとしても、従属的な立場として『みかじめ料』を支払っているのも同然だ。外交的に、中共はそのような結果を到底容認できない。したがって、中共は今後イラン問題において解決困難な板挟みに陥る可能性がある」と唐氏は述べた。

米国を拠点とする軍事技術アナリストで、中国語軍事ニュースのYouTubeチャンネル「Mark Space」のホストを務めるMark Cao氏は、停戦交渉における中国の役割の実効性に懐疑的な見方を示した。

「イランが中共を紛争に引き込もうとしている公算が極めて高い。目的は中共をより緊密に自らと結びつけることだ」と同氏はエポックタイムズに語った。「これにより中共に一定の功績を与える一方で、中共の関与の実態を露呈させることになる」

イランへの秘密支援

中国共産党は公式には「平和維持」を訴え、米国とイランに即時停戦および早期の平和交渉実施を求めてきた。しかし「中国は、米国・イスラエルによるイランのミサイル能力低下への取り組みが続く中、イランのミサイル計画の再建を支援している」と、ワシントンに拠点を置くシンクタンク、戦争研究所(ISW)は報告書の中で指摘した。

さらに、中国企業のMizarVisionが米軍基地および海軍資産の衛星画像を公開し、イランの残存する報復能力に対するリアルタイムの標的情報を提供していると、米情報当局者は述べた。

トランプ氏は4月、イランに武器を提供する国に対し関税を50%引き上げると述べた。中共によるイランへの長年の支援は主に経済的な生命線によるものだったとCao氏は述べた。加えて、ドローン技術・部品、半導体、ミサイル製造用の化学品なども提供してきた。

「中国共産党は地下バンカーの掘削および防空システムの整備においてもイランを支援するため、顧問を派遣している」とCao氏は述べた。

台湾の国防安全研究院(INDSR)防衛戦略・資源部門の研究員兼ディレクター、蘇紫雲氏は、中共がイランを秘密裏に支援してきたことを確認する報告書が多数存在し、これが中東諸国間における不安定化の要因となっていると指摘した。

「中国共産党政府の行動はすでに露呈した。その結果、中国の今後の中東における発展と地位に確かに悪影響をもたらすだろう」と蘇氏はエポックタイムズに語った。

「さらに、イランとサウジアラビア・UAEなどの国々との間には、イランが地域内で軍事的拡張主義を展開してきたことに起因する長年の敵対関係があり、この状況はトランプ大統領が軍事力に訴える決断を下すことへの正当性を事実上与えるものだ。したがって、中国共産党政府はあらゆる面で損失を被ることになる」

イランの最高指導部が事実上「完全排除」されたことに加え、紛争初期に中国供与の兵器が完全に失敗に終わったことは、中共への重大な打撃だとCao氏は述べた。

「加えて、米国は中共によるイランへの秘密支援の相当な証拠を入手している。したがってトランプ氏は今後の習近平との交渉においてこれを活用すると見られる。具体的には中国企業への追加制裁の発動なども含まれ、これはまさに中共が最も恐れていることだ」と同氏は述べた。

今後の展開

イラン政権が存続する限り、中国共産党によるその支援が弱まることはないとCao氏は述べた。

「その理由は、中共にとってイラン政権が不可欠なてこ、つまり具体的には中共が中東での影響力を投射するための重要な手段として機能しているからだ」

イラン国内の分断は深刻であり「穏健派」と「強硬派」の争いは熾烈だと同氏は指摘した。

「米国による強烈な圧力の下、穏健派が優勢になりつつあるようだ。中共にとって、この展開は実のところ痛手だった」とCao氏は述べた。

「なぜなら中共は、イスラム革命防衛隊(IRGC)すなわち強硬派に最も強固な支援を提供してきたからだ。今後の展開については、引き続き注視するほかない」

唐氏は、海峡をめぐって三つのシナリオが展開される可能性が高いと予測した。

「第一は、紛争前の状態への回帰、つまり完全に自由で妨害なく無料の通航であり、これが最も理想的な結果だ」と同氏は述べた。

「第二のシナリオは、海峡での航行の自由は維持されるが、イランが通航料を課す形であり、場合によってはオマーン(海峡南岸)と収益を分配する可能性もある」

第三のシナリオについて唐氏は「イランが海峡の管理を維持し、自由通航を認めず特定の国にのみ選択的に通航を許可しつつ、通行料も徴収する形だ。これは事実上、国際水路に対するイランの管轄権の承認を意味する」と述べ、最悪の事態だと語った。

蘇氏はイラン政権は長年、グローバルな政治・経済的不安定の主要な原因であり続けており、定期的に悪化を繰り返すウイルスのようなものだとし「『長引く慢性的な痛みより、激しくても短い痛みの方がましだ』という言葉通りだ。もしイラン政権を排除できれば、世界の長期的な安定と持続可能な経済発展が確保される」と述べた。

同氏は、トランプ政権とイスラエルによるイラン対抗措置としての軍事行動が湾岸諸国から支持を集めていると指摘した。

「米国とイランの戦争は、その本質において、将来の世界秩序、具体的には重要な戦略的分岐点の行方に関わる問題だ」と蘇氏は述べた。

「現時点では、事態は好ましい方向へ進みつつあるように見える。最終的な結果は今後、停戦が実現した際にイランが核兵器計画を放棄することに合意するかどうかにかかっている」

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