台湾最大野党トップ 会談で習称賛に批判噴出 「政治的投稿」とも

2026/04/13 更新: 2026/04/13

台湾の野党・国民党の主席である鄭麗文氏は4月10日、北京で中国共産党(中共)の総書記・習近平と会談し、談話を発表した。鄭氏は発言の中で、習近平体制下の中国について「完全な貧困脱却」や「小康社会の実現(ややゆとりのある生活)」を称賛し、「民族復興」や「運命共同体」などの表現にも言及したことから、内外で批判や皮肉の声が広がっている。

国民党トップの発言が物議

10日に行われた会談で鄭氏は、習の指導の下で中国は「完全な貧困脱却を実現し、全面的な小康社会を築き上げた」と述べ、「その成果は非凡であり、今後も飛躍的な発展が続く」と評価した。さらに、第15次五か年計画の開始に触れ、「新たな段階への飛躍が期待される」と強調した。

また鄭氏は、習が頻繁に用いる「中華民族の偉大な復興」という表現を使用し、両岸関係については政治的対立を乗り越え、「ウィンウィンの繁栄を実現する運命共同体を構築すべきだ」と訴えた。

これに対し、X上では批判が相次ぎ、「中国経済はすでに崩壊している」「そのまま共産党に入党すればいい」「国民党を根こそぎ壊しに来たのではないか」などの声が上がった。「自分はいつ貧困から脱したのか分からない」といった中国国内の実感との乖離を指摘する意見も見られた。

中国の故・李克強前首相はかつて、中国には月収1千元程度の人が6億人いると公言しており、これが習政権の「貧困脱却」成果に疑問を投げかけるものとして再び注目されている。

鄭氏の発言について、北京のある学者(仮名・楊明氏)は「賢明ではない」と批判した。同氏は、現在の習近平について「国内外で評判は極めて悪く、各方面で敵を作っている」と指摘し、「保守的で頑なな姿勢は国際的にも真の支持を得ていない」と述べた。

また、習が依然として権力を強固に掌握しているため、周囲には迎合する人物が集まっているとし、会談に同席した蔡奇や王滬寧についても「保身を目的に習に従っているに過ぎない」との見方を示した。

さらに楊氏は、今回の会談について、トランプ大統領の訪中を見据えた対外的アピールの側面があると分析。「国民党という台湾の主要野党が中国の対台湾政策を支持していると示すことで、アメリカに台湾支援を控えるよう牽制する狙いがある」と指摘した。その上で、「実質的な意味は乏しく、中共特有の形式的な宣伝に過ぎない」と批判した。

台湾側からも警戒の声

台湾の立法委員・林俊憲氏は同日、フェイスブックで鄭氏の発言に警戒を呼びかけ、「原稿には中共当局の関与が強く疑われる」と指摘した。特に「全面的貧困脱却」や「小康社会」「民族復興」「運命共同体」といった表現は、いずれも中共側の宣伝用語であり、「台湾社会とは無関係な内容を中国向けに発信したものだ」と批判した。

また、中国問題の専門家・李林一氏も、「鄭氏の立場でこれほど露骨に中共の用語を使用するのは驚きだ」と述べ、特に「運命共同体」といった習政権の象徴的スローガンに自ら言及した点を問題視した。

国立成功大学政治学科の王宏仁教授も中央通信社の取材に対し、「鄭氏の発言は大幅な譲歩であり、台湾主体の立場を後退させた」と分析。続けて「習近平との足並みを揃えた内容だ」と指摘した。

「政治的投降」との厳しい評価も

時事評論家の矢板明夫氏はX上で、今回の会談が「国共間の氷解」とされていることについて、「実態は隠しようのない政治的投降だ」と厳しく批判した。

同氏は、「国民党は政治的尊厳を失っただけでなく、台湾2300万人の将来を交渉の場に乗せようとしている」と指摘し、「国際政治において、強大な力に迎合して平和を得ることはできない」と強調した。

さらに、従来国民党が維持してきた「一中各表」の立場を鄭氏が放棄し、中共側と一致した言語を用いた点について、「国民党の主体性は完全に失われたことを示している」と分析。「鄭氏は舞台の中心にいるつもりかもしれないが、中共の戦略の中では代替可能な駒に過ぎない」と指摘した。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
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