中国 使用後返品が横行 過去には教師の教唆による集団返品も

学校イベントで使用後に通販商品を集団返品 問われるモラル=中国

2026/04/17 更新: 2026/04/17

陝西省の中学校で、ネット通販で購入した演出服を使用した後に集団で返品する問題が発覚した。いわゆる「使ってから返す」行為が教育現場にまで及んだ形で、消費モラルの低下が改めて注目されている。

商品が使用されたのは、商洛市丹鳳県の中学校で開かれた体育・文化イベントだった。報道によると、あるクラスで生徒の保護者がそれぞれネット通販を通じて女子用の演出服を購入し、クラス全体で計20着がそろえられた。その後、イベントで使用したあと、返品期限が近づく中で返品申請が相次ぎ、4月10日時点で半数以上が返品申請され、なお数は増え続け、集団的な返品に発展している。

販売した店主によれば、戻ってきた商品には袖口や裾の汚れ、ほつれ、毛玉など明らかな使用痕が残っていた。さらに、学生が同じ衣装を着てリハーサルや本番に参加している映像も確認されており、「イベント中止」などの返品理由と食い違っていた。

返品理由は「サイズが合わない」「品質に問題がある」などさまざまだが、途中で変更されるケースもあった。店側が連絡しても応答がない、あるいは途中で電話を切られるなど、十分な説明が得られない状況が続いたという。

学校側は「購入は保護者の自主的な行動であり、学校や教師は関与していない」と説明しているが、教育の場で起きた問題として批判の声も出ている。

こうした「使ってから返品する」行為は今回に限らない。過去には遼寧省瀋陽市の学校で、教師が「使った後に返品すればよい」と生徒に指示し、運動会で使用した衣装を60人以上が集団で返品する事件も起きている。

 



ネットで買ったスカートを穿いて運動会 汚した後で全員返品 「返品制度の穴を突け」と教えたのは教師=中国

ネットで買ったスカートを穿いて運動会、汚した後で全員返品。しかも「返品制度の穴を突け」と教えたのは教師、中国社会のモラル崩壊。

 

背景には、中国の通販で広く導入されている「7日以内なら理由を問わず返品可能」という制度がある。本来は消費者保護のための仕組みだが、「一度使って返す」行為が広がり、制度の悪用が常態化している。

返品率も高水準に達している。男性服で3〜4割、女性服では5割を超えるケースもあり、ライブ配信販売では8割近くに達することもある。返品された商品は再販売できないことが多く、業者の負担は深刻だ。

広州のある業者は、仕入れた商品の大半が返品され、多くを廃棄せざるを得ず、大きな損失を抱えた。こうした問題から、経営が立ち行かなくなるケースも出ている。

 



返品で倒産する会社も 中国の過酷な返品制度 通販では「灰皿」タグ登場

灰皿をタグにする国、中国。理由は「着て返す客」が多すぎたから。通販の闇がここまで深いとは。

 

こうした状況を受け、業者側は対策を強化している。取り外すと返品できなくなる大きなタグを付けたり、簡単には外せない仕組みで固定したりする方法が広がっている。中には灰皿のような目立つ物をタグとして取り付けるケースもある。付けたままでは外出しにくく、無理に外せば返品できなくなるため、「着て外出してから返品する」行為を防ぐ狙いがある。

本来、返品制度は安心して買い物できる環境を支える仕組みである。しかし、それが繰り返し悪用されれば、商取引の前提となる信頼そのものが揺らぐ。

今回の問題は単なる返品トラブルではない。ルールの範囲内であれば何をしてもよいのかという価値観そのものが問われており、誠実さやルールのあり方をめぐる議論が広がっている。

学校行事は本来、生徒に思いやりやルールを守る大切さなど、人として大切なことを学ばせる機会であるはずだが、今回のケースではその役割が逆転した。費用を抑えたように見えても、その裏で誠実さが失われている。

子は親の背中を見て育つだけに、保護者が制度の抜け道を利用する姿勢を見せれば子どもに深刻な悪影響を及ぼしかねず、規則軽視や利益優先の価値観が広がり、その代償は社会全体に及ぶとの懸念の声が広がっている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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