4月21日、米連邦議会上院銀行委員会は公聴会を開き、トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)議長に指名したケビン・ウォーシュ氏の人事案を審議する。
現職のパウエル議長の任期は5月に満了する。
24人で構成される同委員会では、ウォーシュ氏の指名を上院本会議に送るために過半数の賛成が必要となる。委員会では共和党が13対11で多数を占めているが、反対が1人出れば否決される構図だ。
ウォーシュ氏は委員会を通過した後、上院本会議で採決される。本会議では過半数の賛成で承認され、上院は現在、共和党が多数を握っている。
冒頭陳述
ウォーシュ氏は、FRBの独立性は政治的圧力よりも、自らの規律によって保たれるものだと述べた。「FRBの独立性は、自らの規律によって支える」としている。
また、政治家が金利について意見を述べること自体が本当の脅威なのではなく、FRBの独立性を守るうえで重要なのは、自らの規律と厳格さだと強調した。
そのうえで、FRBは本来の責務を守るべきだとし、危機後に権限を広げすぎるべきではなく、財政政策や社会政策といった権限外の分野に踏み込むべきでもないと警告した。
さらに、インフレは選択の結果であり、物価の安定こそがFRBの拠り所だと述べた。そして、物価安定の責任を「言い訳せず、曖昧にせず」果たすと約束した。
また、物価安定については、多くの学者とはやや異なる考えを持っているとしたうえで、価格変動がごくわずかで、ほとんど人々の関心を引かない状態こそが物価安定だとの認識を示した。さらに、改革案が承認されれば、制度改革に早く着手するほど、物価安定も早く確保できると述べた。
与野党 見方大きく分かれた
今回の公聴会をめぐり、民主党と共和党で受け止め方が大きく分かれた。
上院銀行委員会のスコット委員長は、ウォーシュ氏の承認によって、FRBはこれまでのように役割を広げ続けるのではなく、金融政策という本来の中核業務に立ち返ることになるとの考えを示した。
一方、委員会の民主党議員ウォーレン氏は冒頭陳述で、トランプ政権とFRBの関係は正常ではないと指摘した。
同氏は、大統領がこれまで繰り返し違法にFRBの政策を支配しようとしてきたとしたうえで、ウォーシュ氏は望んでいる地位を得るために口先だけの約束をしている可能性を批判した。
ティリス議員の対応に注目
特に注目したのは、共和党のトム・ティリス議員の質問だった。
ティリス氏は公聴会前、パウエル議長の下で進められてきたFRB本部改修工事に関する調査が終わるまでは、ウォーシュ氏の指名採決を阻止する考えを示していた。ティリス氏は銀行委員会のメンバーの一人で、その一票が指名の行方を左右するとみられている。
4月21日の質疑でも、ティリス氏は指名を前に進めることに反対する理由を改めて説明した。ティリス氏は今年、任期満了で引退する予定だが、ウォーシュ氏を最終的に承認すること自体には賛成だとした一方で、それは司法省によるパウエル氏への調査が止まった後であるべきだと述べた。
また、FRB本部の改修工事をめぐる超過支出の調査は不適切だとし、その責任は司法省の中堅職員にあるとの認識を示した。
ティリス氏は、およそ7億ドルの予算超過が生じた建設事業と、その説明だけで手続き全体が妨げられるべきなのかと疑問を呈した。
一方、コロンビア特別区のジャニーン・ピロ検察官は、パウエル氏を召喚を試みたものの、裁判所に退けられた。ピロ氏は控訴する意向を示している。
三つの焦点
ウォール・ストリート・ジャーナルは公聴会に先立ち、主な焦点として、FRBの独立性、FRBの資産規模と情報発信のあり方、そして上院議員らの対応の三つを挙げていた。
このうちFRBの独立性について、ウォーシュ氏は事前に公表した書面証言で、金融政策の独立性は「極めて重要」だと述べ、FRBは「国益を最優先に」しなければならないとしたうえで、金融政策の「厳格な独立性」を維持すると約束していた。この点については、民主党議員が厳しく追及するとみられていた。
ウォーシュ氏がインフレと金利の問題にどう向き合うのかも重要な論点とされた。トランプ氏はこれまで、パウエル氏が利下げを行わなかったことを繰り返し批判してきた。
また、ウォーシュ氏はこれまで、FRBの6兆7千億ドル規模のバランスシートを縮小したい考えや、中央銀行当局者が金利の見通しについて過度に発言することに否定的な立場を示してきた。ただ、4月21日の冒頭陳述では、この点を特に強調しなかった。
加えて、ティリス氏が立場を変えるのか、あるいは共和党がウォーシュ氏の委員会通過に必要な票をどう確保するのかにも関心が集まっている。
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