米中がイラン問題で一致 ホワイトハウス発表

2026/05/15 更新: 2026/05/15

5月14日に北京で行われた2時間にわたる首脳会談で、米国のトランプ大統領と中国の習近平共産党党首は、イランが核兵器を開発してはならないこと、およびホルムズ海峡が世界の船舶に対して開放され続けるべきであるという点で一致した。

ホワイトハウスが発表した簡潔な声明(リードアウト)によると、米中両首脳は経済協力、フェンタニル、イラン問題など幅広い課題について協議した。一方で、この声明には台湾や中国の政治犯など、トランプ氏が訪中前に提起すると公言していた複数の議題は含まれていなかった。

首脳会談の前まで、中国側はホルムズ海峡再開に向けた米国の働きかけに対して、ほとんど反応を示していなかった。今回の会談は、中国に関連する団体が、民生・軍事の両方に転用可能な「デュアルユース」技術、工業材料、衛星サービス、および秘密の調達ネットワークを通じてテヘラン(イラン)の戦時能力を支援しているという、米国とイスラエルの懸念の中で行われた。

また、ホワイトハウスの声明によれば、両首脳は経済関係の拡大についても話し合い、米国企業の中国市場へのアクセス改善、米国産業への中国投資の増加、および米国産農産物の購入拡大などが議題に上がった。

フェンタニル対策と米中関係の「安定」

フェンタニル問題について、両首脳は「米国へのフェンタニル前駆体の流入を阻止する取り組みの進展をさらに強化する必要性を強調した」という。

5月11日には、フロリダ州南部地区の連邦検察局が、合成麻薬の密輸を企てたとしてラスベガスの男と中国人を起訴したと発表した。この中国人被告は4月に中国国内で当局に逮捕されている。

2026年5月13日、ドナルド・トランプ米大統領(中央)が北京首都国際空港に到着した際、中国当局者らが同行した( Alex Wong/Getty Images)

中国側の発表によれば、習はトランプ氏に対し、台湾問題が適切に処理されれば、米中関係は「全体的な安定を享受できる」と述べた。さもなければ、両国は「衝突や紛争のリスクにさらされ、関係全体が大きな危険に陥る」と警告した。

中国外交部の発表では、両首脳が中東情勢、ウクライナ危機、朝鮮半島、その他の主要な国際・地域問題について議論したとされているが、詳細な言及はなかった。習は二国間関係についても、自身の安定へのビジョンを提示した。

中国外交部によると、習は「トランプ大統領と、戦略的安定性を備えた建設的な中米関係を構築するという新たなビジョンで一致した」と述べ、「これは今後3年以上にわたる中米関係の戦略的指針となり、両国民と国際社会に歓迎されるだろう」と語った。また、習は外交および軍事分野でのコミュニケーション・チャンネルの更なる活用と、貿易、保健、農業、観光、法執行分野での協力拡大を促した。

トランプ氏と習が中共政権下の政治犯について議論したかどうかは不明である。トランプ氏は訪中前、香港の民主活動家である黎智英(ジミー・ライ)氏や、中国人牧師の金明日(ジン・ミンリ)氏のケースについて言及すると述べていた。

5月13日、米連邦上下両院は、金氏、黎氏、牧師の高全富(ガオ・クアンフー)氏とその妻の龐宇(パン・ユー)氏、そして引退したウイグル人医師のグルシャン・アッバス氏の5人の政治犯について、習氏に問い質すようトランプ氏に求める決議案を採択した。

首脳会談後、中国の李強首相は、テスラのイーロン・マスクCEOやエヌビディアのジェンスン・ファンCEOなど、トランプ氏に同行して北京を訪れた10社以上の米国企業幹部らと会談した。中共政権は、国内外からの圧力で停滞する経済を立て直すため、外資の呼び戻しに躍起になっている。不動産部門の長期的な低迷により、企業は新規投資に慎重になり、家計は財布の紐を締めている。若者の雇用も深刻化しており、今年の中国の経済成長目標は1991年以来の低水準に設定されている。

5月14日夜の晩餐会で、トランプ氏は習に対し、9月24日にホワイトハウスを訪問するよう要請した。

台湾を巡る応酬

台湾政府は、習の台湾に関する発言に即座に反論した。台湾外交部(外務省に相当)は声明で、中国が航空機や艦船を台湾近海に展開して威圧を続けていると指摘した。

「長きにわたり、中国は東シナ海、南シナ海、台湾海峡、および台湾周辺地域で様々なグレーゾーン侵入や軍事的脅威を継続的に行ってきた。中国こそが、地域の平和と安定に対する現在唯一のリスクである」と外交部は述べた。台湾行政院(内閣)の報道官であるミシェル・リー氏も、定例会見でこのコメントを支持した。

「中国の軍事的脅威こそが、台湾海峡とインド太平洋地域の安全を損なう唯一の要因である。米国側も、台湾への確固たる支持という明確な立場を繰り返し再確認している」とリー氏は語った。

2026年1月27日、台湾の台中市で、台湾兵が軍用無人航空機の横に立っている( I-Hwa Cheng/AFP via Getty Images)

中共政権は、民主的に統治されている台湾を一度も支配したことがないにもかかわらず、自国の一省であると主張している。北京は他国に対し、台湾の主権を主張する「一つの中国」原則に従うよう要求している。米国を含む多くの国は、北京の台湾に対する主権を認めることなく、「中国は一つである」という主張を認識(acknowledge)する「一つの中国」政策を維持している。

数十年にわたり、ワシントンと台北は正式な外交関係がないにもかかわらず、強固な関係を築いてきた。台湾関係法に基づき、米国は台湾の自己防衛のための最大の武器供給国となっている。

第1次トランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏は、トランプ・習会談を前に、習近平が台湾に関して要求を突きつける可能性を警告していた。ポンペオ氏は5月13日にXへの投稿で、「習が台湾問題での譲歩を迫ることを予期すべきだ。台湾の主権と独立に関しては、米国が一歩も引かないことを明確にする必要がある」と記した。

また、5月13日には、下院「中国共産党に関する特別委員会」の野党筆頭委員であるロー・カンナ議員ら民主党幹部議員4名が、台湾に対する長年の政策を維持し、台湾政策を指図しようとする中国のいかなる試みにも反対するよう求める書簡をトランプ氏に送った。彼らはまた、遅延している140億ドル規模の台湾への武器売却を承認するようトランプ氏に促した。

2025年7月11日、台湾の台北市で行われた台湾の年次軍事演習「漢光」において、空軍のパトリオットミサイルシステムが地元の公園に配備された。(写真:I-Hwa Cheng/AFP via Getty Images)

5月14日の定例会見で、中国外交部の郭継坤報道官は、両首脳が米国の台湾への武器売却について議論したかどうか明言を避けた。代わりに郭報道官は、そのような売却に対する北京の反対の立場を改めて強調した。

中国は軍事能力を急速に増強させている。5月12日、ジル・トクダ議員(共和党、ハワイ州選出)を中心とする超党派の下院議員グループは、米台関係を再確認する決議案を提出した。同決議案は「平和的手段以外で台湾の将来を決定しようとする試み」への反対を表明している。

下院特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州選出)は声明で、「中国共産党が台湾に対する威圧、サイバー攻撃、グレーゾーン侵略をエスカレートさせる中、議会は台湾の現状を変えようとするいかなる試みにも反対し、台湾の民主的な未来を支持し続けるという明確なメッセージを送っている」と述べた。

台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。
関連特集: 中国政治