子供や高齢者の安全を見守るため、日本の家庭で普及が進むGPS見守りデバイスをめぐり、安全保障上の新たな懸念が浮上している。一部では利便性を支える測位・通信技術の一部に、中国の国家インフラや軍事転用可能技術が組み込まれている実態があり、情報漏洩やサイバーセキュリティ上のリスクを警戒する声が強まっている。問題視されているのは、中国通信機器大手ZTE製の見守りGPS端末である。
ソフトバンクが展開する「みまもりGPS(NC002Aなど)」では、中国の衛星測位システム「北斗(BeiDou)」への対応について、同社の製品仕様ページに記載されている。この北斗は、中国人民解放軍主導で整備が進められた国家インフラであり、民生利用と並行して軍事利用されていることが広く知られている。
台湾国防部は北斗について、中国共産党軍が「ミサイル戦、精密攻撃、サイバー戦」を遂行する上で重要な基盤技術であると位置付けており、軍事作戦への活用可能性に強い警戒感を示している。
日本政府も中国製通信機器への警戒を強め、2018年には政府調達指針を改定し、ZTEを含む中国企業製品を事実上調達対象から除外していたが、2026年4月に、さらに総務省は自治体が導入するIT機器について、来年夏から政府認定制度を通過した製品のみを調達対象とする方針を固めた。
経済産業省が運用するIoT機器向けセキュリティ評価制度「JC-STAR」でも、中国製機器に対しては情報漏洩やサイバー攻撃の踏み台となる危険性が指摘されている。
こうした動きは日本に限らない。米国では2026年3月、連邦通信委員会(FCC)が外国製通信ルーターに対する規制強化を決定し、中国製ネットワーク機器への事実上の締め付けを進めている。
英国国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は中国系アクターが家庭向けIoT機器を利用した監視ネットワークを形成していると警告しており、オーストラリア当局も大手通信プロバイダーのネットワークを侵害した大規模スパイキャンペーンについて報告している。
日米英豪など12か国以上の機関が、中国系国家アクターによるネットワーク侵害について共同勧告を発表しており、この問題が世界規模の安全保障課題として認識されている。
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