高市首相 中東情勢受けエネルギー安保の現状報告  脱ホルムズ依存と「パワー・アジア」構想を表明

2026/06/12 更新: 2026/06/12

高市早苗首相は6月11日夜、自身のX(旧Twitter)アカウントで、第10回「中東情勢に関する関係閣僚会議」を開催したと報告した。原油輸入に関して、全量をホルムズ海峡外から調達することが可能となったと明らかにした。

これまで、ホルムズ海峡への依存度が9割を超えていたが石油業界などの尽力により、7月の調達量は前年平月比で約10割に回復する目途が立ち、7月に必要な原油量を上回る調達が見込めることから、政府は5月に続き、6月も国家備蓄の放出を行わない方針だという。

代替調達先としては、従来の中東や米国、アラスカを含む地域に加え、中南米、アジア太平洋、中央アジア、アフリカからの調達が進んでいる。新たにカナダからの輸入も決定しており、7月にはメキシコから初めて原油が到着する予定だとした。

今後の見通しについては、8月以降の調達が前年平月比75%にとどまるという保守的な仮定でも、備蓄を活用することで2028年3月末まで石油の安定供給が可能と試算している。

報道でも加熱している石油製品の供給面でも、改善がみられる。

中東情勢悪化の影響で、4月には一時1トンあたり1千ドルを超え、以前の2倍にまで高騰していたナフサの国際価格は、直近で700ドル超、約1.2倍まで下落した。高市首相はこれにより、ナフサ由来の化学製品を含む石油製品は、年度を越えて供給を継続できる見通し。トルエン・キシレンについては、例年の需要の1.8倍の供給を可能とする仕組みを開始しており、早ければ6月18日には原料が届き、増産が始まる見通しを示した。すでに塗料・シンナーメーカーからは供給安定化を歓迎する声が寄せられているという。

潤滑油についても、全ての業種を対象に、主要潤滑油メーカーからの直接販売の仕組みを新たに設け、すでに運用を開始した。

中東情勢の影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援も拡充している。「建築工事業」などを追加した全業種の半数にあたる583業種を対象に、民間金融機関からの融資に関する信用保証として、限度額2.8億円の別枠を設けた。全国の信用保証協会で相談受付も始まっている。

高市首相は関係大臣に対し、資金繰りや雇用調整助成金による支援が行き届いているかを的確に把握し、支援に万全を期すよう指示した。

また6月13日からは欧州を歴訪し、英国、イタリアの各首脳との会談を経て、フランスで開催されるG7サミットに出席する。

サミットでは、中東情勢の影響を最も大きく受けるアジアの代表として、世界のエネルギー安全保障と原油市場の安定に向け、G7が主導すべき三つの原則を提案する予定だとしている。

第一に、エネルギーの安定供給に国際社会が協力して対処し、不当な輸出制限に反対し、自由で透明な貿易を確保することである。第二に、日本が先陣を切って推進している、アジアなどの石油備蓄強化への支援と、IEA(国際エネルギー機関)との連携の必要性である。第三に、中東など産油国と消費国との連携強化の必要性である。

高市首相は、これらの提案を通じ、日本が主導する「パワー・アジア」の理念を国際社会へ広げていく決意を示している。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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