高市内閣 物価高対策と成長戦略を推進 デフレ脱却と「強い経済」目指す

2026/08/14 更新: 2026/08/14

高市早苗内閣は、エネルギー価格の抑制や所得税減税、教育・子育て支援などの物価高対策を進める一方、企業統治改革や地方への産業集積を通じて潜在成長率を引き上げる方針だ。短期的な家計支援と中長期的な成長戦略を組み合わせ、デフレからの完全脱却と賃金・物価の好循環を目指す。

日本のインフレ率は前年比1.7%で、主要7か国(G7)では最も低い水準となった。実質賃金上昇率は前年比1.7%となり、日本では7か月連続のプラス(物価の伸びを上回る賃金の上昇)を記録している。昨年7月当時のインフレ率3.1%、実質賃金上昇率0.3%と比べ、物価上昇の鈍化と賃金の改善が進んでいる

燃料補助と税制で家計を支援

物価高対策では、中東情勢を受けた緊急的激変緩和措置による補助等により、ガソリン価格を全国平均で1リットル当たり170円程度に抑えている。なお、こうした燃料油補助やガソリン暫定税率廃止などによるインフレ率の押し下げ効果は、0.7%ポイントとされている

税制面では、改正所得税法に基づき、2026年12月の年末調整で1人当たり3万~6万円の所得税減税を実施する。年金についても、同年6月の振込分から国民年金を1.9%、厚生年金を2.0%増額した。

教育・子育て分野では、私立高校の就学支援金を最大45万7千円に拡充した。公立小学校の給食費には、子ども1人当たり5200円程度の補助を計上し、「物価高対応子育て応援手当」(子ども一人当たり2万円)は、すべての市区町村で今年7月末までにすでに支給が開始されている。教育無償化の推進には、インフレ率を0.3ポイント押し下げる効果があるとしている。

地方自治体による支援には「重点支援地方交付金」を活用する。LPガス料金への補助や赤字中小企業への支援などは、2026年6月までに全市町村で一部事業が始まった。2026年度補正予算では交付金を1千億円積み増し、8月下旬から順次交付する計画である。

企業の付加価値を賃金と投資へ

中長期的な成長戦略では、企業が原材料費などの上昇分を適切に価格へ転嫁し、得られた収益を賃金や研究開発、設備投資へ還元する経済構造への転換を掲げる。

2026年7月に改訂したコーポレートガバナンス・コードでは、企業の資本効率を高め、創出した付加価値を労働分配と設備投資へ振り向ける取り組みを促す。企業収益の拡大を賃上げや人材への投資につなげ、賃金と物価がともに上昇する好循環を形成する狙いだ。

政府が掲げる「日本成長戦略」と「地域未来戦略」では、地方への産業クラスターの展開を柱に据える。日本独自の製品やサービスによって世界共通の課題を解決し、他国から必要とされる「不可欠性」を高めるとともに、経済安全保障上の「自律性」を確保する方針である。

財政面では、税率の引き上げに依存せず、生産性向上と経済成長によって税収を増やし、社会保障を支える構想を示している。国内投資を促進し、潜在成長率を引き上げることを重点課題とする。

中東情勢に備え2.5兆円の予備費

海外情勢に伴う物価や経済への影響に備え、2026年度補正予算には2.5兆円規模の「中東情勢等対応予備費」を設けた。地政学的なリスクによる外部ショックから国民生活と経済活動を守るための財政的な備えと位置付ける。

高市内閣は、居住地域にかかわらず、安全や教育、福祉を確保し、働く場所と将来への希望を持てる社会の実現を掲げる。物価高への直接支援を続けながら、国内投資や賃上げを促し、持続的に成長する経済の構築を進める方針だ。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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