LNG船建造再開へ 日韓協力で2035年ごろの生産回復を目指す

2026/06/15 更新: 2026/06/15

地政学的リスクが日本のエネルギー輸送に影響を及ぼすなか、政府が国内でLNG運搬船の建造再開を計画している。造船各社は韓国との協力を視野に入れ、2035年ごろまでに生産を再開し、年間3~5隻の建造体制を整えることを目指している。

1980~90年代、日本の造船業界は世界のLNG運搬船市場を主導していた。しかし、その後は韓国や中国の低コスト攻勢に押され、市場シェアを徐々に失った。2019年以降、日本国内ではLNG運搬船の引き渡しと建造が途絶えている。

こうした状況を受け、今治造船、川崎重工業、名村造船所は、技術やノウハウの共有、熟練溶接工の相互支援を通じて、LNG運搬船建造の復活を目指している。計画では、川崎重工業の坂出工場を活用する見通しだ。

日本は液化天然ガスの約98%を輸入に依存している。LNGは発電用燃料であると同時に、家庭向けガスにも使われており、LNG運搬船は日本のエネルギー安全保障にとって欠かせない存在である。

このため、政府は造船業を重点育成分野の一つに位置付けている。LNG運搬船建造の再開は、その戦略の重要な柱とされており、政府は同計画を成長戦略関連の官民投資ロードマップに盛り込む方針だ。

一方で、日本製LNG運搬船は価格競争力で韓国や中国に及ばない可能性がある。このため政府は、船主などの購入希望者に補助金を支給し、価格差を埋めることで計画を後押しすることを検討している。

将来的には、他の造船会社も計画に加わる可能性がある。現在、日本向けに天然ガスを輸送しているLNG運搬船は約100隻ある。船舶の一般的な運航期間が約20年とされることを踏まえると、輸送能力を維持するには、年間3~5隻を継続的に建造する必要がある。

ただし、日本ではLNG運搬船の建造が5年以上中断しており、関連産業を支えるサプライチェーンは弱体化している。さらに、現在の主流は積載効率の高い「メンブレン型」タンク技術に移っているが、日本の造船所はこの分野で十分な経験を持たないとされる。

このため、日本は豊富な実績と技術を持つ韓国との協力を検討している。また、関連特許を保有するフランス企業との連携も模索している。

現在、韓国勢は世界のLNG運搬船受注の約7割を握っている。しかし、韓国の造船業界は深刻な人手不足に直面しており、その隙を突く形で中国造船業が存在感を高めている。日韓協力は、韓国がこの分野での優位性を維持するうえでも有効とみられている。

韓国の造船業界では、日本との協力が中国勢に対抗するうえで有効だとみる声もある。日本は世界有数の海運国であり、船舶需要も大きいことから、双方には大きな協力余地があるという。

韓国産業研究院(KIET)の李恩昌研究員は、「中国が大量の造船受注を獲得するなか、韓国や日本などの造船大国は協力して対抗する必要がある」と指摘した。

そのうえで、「韓国はLNG運搬船など高付加価値船舶で技術的優位性を持ち、日本は標準設計や設備分野で競争力を備えている。双方の強みを生かせば、相互補完による協力関係を築くことができる」と述べた。

呉瑞昌
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