G7サミットでの西側諸国の連携と中国共産党の断末魔の叫び

2026/06/19 更新: 2026/06/19

先ごろ閉幕した主要7か国首脳会議(G7サミット)は、トランプ米大統領が主導した米国・イラン合意への支持を確認し、地政学、重要鉱物サプライチェーン、経済安全保障とレジリエンス、麻薬対策などの分野における新たな国際協調を強化した。

これらはいずれも実質的に中国共産党(中共)を標的としたものである。インド、韓国、ブラジル、エジプト、ケニアの首脳が招待される一方、中共は排除され、一層の面目を失った。この窮地を取り繕うべく、中共はいわゆる「グローバル・ガバナンス」白書を発表したが、それはおよそ滑稽な断末魔の叫びに過ぎない。

さらなる敵対勢力を生み出した中共

6月17日に公表された「地政学的問題に関するG7首脳声明」(以下「声明」)は、「われわれは東シナ海、南シナ海、および台湾海峡における現状を、とりわけ武力または威圧による一方的変更のいかなる試みにも反対することを改めて確認する。これらの問題は対話を通じた平和的解決によってのみ解決されるべきものである」と述べた。

この一節は、中共が対米関係において繰り返し設定してきた台湾問題の「レッドライン」を踏み越えるものであり、南シナ海・東シナ海にも言及している。米国が実力によってイランに譲歩を迫った後、西側各国は一致してこれを支持し、中共に対してもより直截な物言いをするようになった。

イランがホルムズ海峡封鎖を試みて世界全体を脅かしたことで、各国はその害悪を痛感した。中共が台湾海峡で紛争を引き起こしたり、南シナ海をいわゆる「内海」化しようとすれば、G7の米国・日本・英国・フランス・ドイツ・イタリア・カナダにとどまらず、東アジア、西アジア、欧州、アフリカ、南北米州、オセアニアなど世界のより多くの国々に影響が及ぶ。その害はいうまでもなく格段に大きい。

中共が台湾海峡・南シナ海・東シナ海での挑発を繰り返しエスカレートさせているため、西側各国は当然ながら注視を強め、警告を発し続けている。中共はこうした警告を聞く耳を持たないが、問題の根源は中共自身が作り出したものだ。

トランプ訪中の際、中共党首は口頭では台湾問題を利用して虚勢を張り続けたが、中共軍は台湾海峡・南シナ海・東シナ海で依然として挑発行為を繰り返し、対米対立姿勢を維持しようとした。しかしこれは米国・日本の警戒を高めるのみならず、より多くの西側諸国の警戒も招くことになり、G7は中共の地政学的脅威への対処において一致した立場を示した。

G7声明はまた、朝鮮半島の「完全な非核化」方針を改めて確認した。中共党首が北朝鮮を訪問したばかりであるにもかかわらず核問題に触れなかったことは、G7の立場と鮮明な対比をなしている。

G7サミットに招待された韓国の李在明大統領は、トランプ大統領との短い会話の中で、中東情勢の緩和を主導したように、北朝鮮問題の平和的解決に向けた対朝外交を積極的に牽引するよう要請した。トランプ大統領は北朝鮮問題の進展に努力すると応じた。

中共を介さずに米国と直接交渉することは、金正恩委員長が常に望んできたことでもあるだろう。中共党首の訪朝の結果は、韓国にとっても失望をもたらすものであったと思われ、米国に頼ることがほぼ唯一の選択肢となりつつある。

中共は対外的に悪手を重ね、敵対勢力を増やし続けている。

ウクライナ戦争の新たな変数

声明はさらに「われわれはここ数か月のウクライナの戦場における粘り強さと前進を称え、新たな勢いが生まれていることを強調する」と述べた。また「この新たな勢いを支援・加速するため、防空能力の強化、システムおよびインターセプターの追加供与、長距離作戦能力の供与拡大に合意する」と表明した。

さらに「ロシアの軍需産業経済への圧力を強化する」ことを誓約し「石油・天然ガス産業への制裁を含む制裁の強化を図る。トランプ大統領がわれわれの支持する合意を成立させ、ホルムズ海峡を再開通させたことを踏まえ、今がさらなる措置を講じる適切な時機と判断する」と述べた。

イランが米国との合意に追い込まれたことで、中共は憎しみと恐れの板挟みとなった。イランによるホルムズ海峡封鎖に対し、米国はイランへの海上封鎖を実施し、いつでも空爆に踏み切れる態勢をとった。石油の輸送路が遮断され原油価格が急騰した局面では、中共は米国から高値で原油を購入せざるを得ず、備蓄も急速に消費された。中共はイランに早急に折れるよう陰ながら圧力をかけていたとも推測される。

しかし、米国がイランを片付けた後は、その勢いをもって中共に矛先を向けることは必至であり、中共は状況がさらに厳しくなることを自覚しながらも、なすすべがない。米国がイランを攻撃・封鎖する際にも中共は動くことができなかった。自らが相手にならないと認識しているのだろう。

石油供給の正常化に伴い原油価格は下落し、ロシアが高値で原油を販売できた一時的な好機も終わりを告げた。G7はロシアの石油・天然ガス輸出への規制強化を図る構えだ。トランプ大統領がかつて提起した、中共によるロシア産原油購入への二次制裁は、対イラン軍事行動中は棚上げされていたが、今後は議題に再浮上する可能性がある。

今回のG7サミットでトランプ大統領はロシアに早急な停戦合意を改めて促したが、ロシアへの制裁強化については従来の姿勢から転じ、欧州と足並みをそろえた。ウクライナの無人機が戦場で新たな優位を生み出していることは欧州を鼓舞するとともに、トランプ大統領の判断にも影響を与えた可能性がある。またロシア経済の戦争継続能力が低下しつつあることは、トランプ大統領によるウクライナ停戦仲介の新たな交渉カードとなりつつあると見られる。中共によるロシア産原油購入への制限はこの交渉カードをさらに強化するものであり、トランプ大統領はそれを見逃さないだろう。

2026年6月16日、米テキサス州オースティンのガソリンスタンドで、価格表示板が大幅な値下がりを示している(Brandon Bell/Getty Images)

中東における新たな機会

G7サミットの声明はさらに「われわれはトランプ大統領が促進した覚書に基づき、地域のすべての国に平和と安全をもたらすことを目指した、強固かつ包括的な後継外交合意の成立を断固支持する」と述べた。また「中東における現在の突破口と機会を認識する」とし「フランスと英国が主導する多国間・独立型・防衛的イニシアチブがホルムズ海峡の海上交通回復促進において重要な役割を果たし得ると合意した。具体的には商船の保護、商業海運業者の不安払拭、すべての機雷が除去済みであることの検証支援が含まれる」と示した。

欧州諸国はイランの核武装不許容という米国の核心的要求を支持し、ホルムズ海峡での米軍作戦に正式に参加して石油輸送路の安全確保に乗り出した。

中共は長年イランを利用して中東に問題を引き起こし、米国の注意を分散させてきたが、トランプ大統領がイランに譲歩を強いることに成功した今、欧州諸国は速やかに軍事支援の提供に応じた。イランが再び翻意した場合、対応にあたるのは米国だけではなくなる。中共がかき乱しを続けようとすれば、より多くの国の直接的な抵抗に遭うことになり、対峙する相手は米国だけにとどまらなくなる。

中東に歴史的な和平の機会が訪れつつある一方、中共にとってはかき乱し戦略の失敗という局面を迎えている。

かえって各国の重要鉱物協力を深めた中共

「重要鉱物サプライチェーン確保に関するG7首脳宣言」(以下「宣言」)は、「われわれはサプライチェーンの多様化と集団的レジリエンス強化の緊迫性を改めて確認する」と述べた。また「非市場的な政策・慣行、経済的威圧(恣意的な輸出制限や重要鉱物およびその関連デュアルユース品目に対する報復的措置を含む)への深刻な懸念を表明する。これらはすべて経済安全保障とレジリエンスを損なうものである。われわれはパートナー諸国とともに重要な依存関係の解消に取り組み、経済的依存の武器化を試みるいかなる行為も成功させないことを確保する。われわれは経済的威圧の阻止に努め、必要な場合には協調した行動をとる用意がある」と表明した。

2025年に中共は貿易戦争への対抗措置として主に米国を対象にレアアース輸出管制を発動したが、実際には世界の主要工業国にも深刻な打撃を与え、各国の連携を急速に促すことになった。宣言は「2030年までにG7およびパートナー国以外の単一供給者への希土類・永久磁石の依存度を60%未満に大幅削減し、その後も継続的に引き下げ、できる限り早期に50%到達を目指す」と明記した。

宣言では2026年初頭以降に重要鉱物サプライチェーン関連で195件のプロジェクトが立ち上がり、累計投資額が640億ユーロに達したことも言及された。これらはいずれも中共にとって脅威であり、重要鉱物市場における巨大なシェアを失うことを意味する。まさに自縄自縛といえよう。

宣言はまた、重要鉱物の備蓄・リサイクルなどに関する同盟国間の協調についても強調した。中共が再びレアアース管制を脅しの手段として用いようとすれば、西側各国の一斉反撃を招き、一層の敗北を喫するだけだろう。

「より均衡のとれた持続可能でレジリエントな成長の実現に関するG7首脳声明」は「われわれは経済安全保障とレジリエンスを支え、すべての市民の福祉を創出するための均衡かつ持続可能な成長の実現に向け協力することを誓約する。非市場的政策・慣行がもたらす悪影響、すなわち持続的な市場歪曲、世界的な構造的生産能力過剰とその結果生じる不均衡、世界・地域・国内市場への有害な波及効果、および高まる経済的依存性に関する共通の懸念を改めて確認する。レジリエントで信頼性の高いサプライチェーンが経済安全保障に不可欠であることを改めて確認する」と述べた。

西側各国は中共のレアアース管制に対して共同で対抗する一方、中共の不当廉売に対しても連携して対処しようとしている。これはサプライチェーンが引き続き中国本土から離れ、より多くの中国国民が職を失うことを意味する。今や中共の行動そのものが中国を深淵へと追い込んでいるにもかかわらず、中共は詭弁を弄して事実を歪曲し続けている。

2026年6月9日、北京の市民が路上の新聞掲示板で、中共指導者の北朝鮮訪問を報じる党系メディアの報道を見ている。(Wang Zhao/AFP via Getty Images)

自ら醜態をさらした中共

6月17日、G7サミットが相次いで声明・宣言を公表する中、中共党系メディアはこれを完全に黙殺し、これほど重要な会議の存在自体がなかったかのように黙殺した。G7サミットは毎年開催され国際問題を協議・調整する場だが、中共は毎回排除されてきた。今年はインド、韓国、ブラジル、エジプト、ケニア、アラブ首長国連邦、カタールの首脳が相次いで招待された一方、中共は依然として排除され、一層の恥辱を味わった。真実を隠蔽するため、中共はG7サミットの情報を封鎖するとともに、自己陶酔的な虚偽宣伝に興じた。

6月17日、新華社は唐突に「より公正・合理的なグローバル・ガバナンス体制の構築:中国の理念・提言・行動」と題する白書を発表した。党文化特有の空疎な言葉で埋め尽くされたこの文書は約2万字に及ぶが、実質的な内容はほとんどない。G7サミットにも数多くの国際問題の議論にも参加できない中共は、自己満足を得ようとしたに過ぎず、結果として自らの醜態をさらすことになった。

中共の白書は引き続き、いわゆる「百年に一度の大変局」を主張し、様々な矛盾と問題をすべて米国のせいにし「一部の国が貿易戦争・技術戦争を仕掛け」「一方的制裁を科している」と述べる一方「国連を中核とする国際体制がグローバル・ガバナンスにおいて代替不可能な重要な役割を果たしている」と主張し続けた。

しかし中共も承知のとおり、国連はイラン核問題、北朝鮮核問題、ロシア・ウクライナ戦争などの一連の問題を解決する力を持っていない。だからこそ白書も「現行のガバナンス体制は完璧ではないが、取り壊して作り直す必要も、別の炉を起こす必要もない」と認めざるを得なかった。

中共が標的としているのは米国だけではなく、地球の反対側で開かれたG7+サミットを暗に指している。G7+サミットへの参加資格を持たない中共は、「国際問題においてグローバル・サウスの訴えにもっと応えることが必要だ」と声高に論じ、いわゆる南半球諸国の「代弁者」を演じようとした。しかしそうなると、中共のいわゆる「グローバル・ガバナンス」白書は南半球に代わって声を上げるものに過ぎず、「グローバル・ガバナンス」とはほど遠い。これはむしろ国際問題における中共の無力さを露わにするものだ。

白書が中共を「最大の発展途上国」と自称し続けていることも、G7との明確な一線を示しており、国際問題への参加はおろか、自ら国際問題の外に置かれるも同然だ。

白書が具体的な成果として挙げられるものといえば、相変わらず「一帯一路」のみであり、「多国間主義」を対米対抗の旗印として空虚に叫ぶだけだ。しかしG7+サミット自体がすでに多国間協力の一つの範例であり、ただ中共が抜けているだけだ。

白書は「G20協力への参加と主導」も打ち出したが、中共党首は2年連続でG20サミットを欠席しており、「参加」すら果たしていない。ましてや「主導」など論外だ。近年、中共は事実上自ら国際問題の外に身を置いている。それは中共があまりにも異質な存在であり、中共党首が国際的な場で冷遇や嘲笑に耐えられないためだ。

さらに笑止千万なのは、白書が「中国共産党は創立105年来、一貫して『世界のために大同を実現することを使命としてきた』」と主張し、いわゆる「人類運命共同体」の宣伝を続けていることだ。これは化けの皮が剥がれたも同然だ。これこそ中共の最後の断末魔の叫びであろうか。

【大紀元独自配信】

楊威
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