時事 娘が全省トップクラスの成績

建設現場で働き続けた母 娘から届いた最高の恩返し=中国

2026/06/27 更新: 2026/06/27

「お母さん、愛してる」

6月25日夕方、四川省で大学入試の成績を確認した高校3年生の劉芳さんは、全省トップクラスの成績だと知ると、その場で後ろにいた母親を抱き締め、「お母さん、愛してる」と涙ながらに伝えた。

母親の鄒品芝さんは、19元(約450円)の学費が払えず、小学1年で退学を余儀なくされた。

「学がないから、力仕事で生きていくしかなかった」

そう振り返る彼女は、この十数年間、成都の建設現場で日雇い仕事を続けてきた。

肩に担ぐのは6メートルの鉄パイプ。忙しい日は2本を同時に運び、何十個もの金具を持ち歩き、約45キロある資材の入ったバケツを足場の上まで運ぶ。多くの男性でもきついと感じる重労働だ。

朝6時半から働き始め、昼まで現場で汗を流し、午後も再び仕事へ向かう。真夏は暑さで立ちくらみがしても、コンクリートの地面に数分座って息を整え、再び立ち上がる。

そんな彼女には、自分に言い聞かせるように繰り返してきた言葉がある。

「私が倒れたら、この子を育てる人がいない」

この一言は中国のSNSでも大きな反響を呼び、「涙が止まらない」と多くの共感を集めた。

劉芳さんもまた、母の苦労を誰より知っていた。幼い頃から無駄遣いをせず、母に欲しい物をねだったこともほとんどないという。

全省トップクラスの成績を知ったあとも、最初に口にしたのは「夏休みはアルバイトをして、お母さんを少しでも楽にしたい」という言葉だった。

ネット上では、「苦労して育った子ほど親思いだ」「これは美談ではない。命を削って次の世代を支える母親の現実だ」といった声も相次いだ。

一方、中国では大学卒業生が年々増え、「卒業しても就職できない」という不安が広がっている。景気低迷で雇用環境も厳しさを増す中、大学へ進学すれば将来が開けるという希望は、以前ほど確かなものではなくなっている。

だからこそ、この母娘の物語は感動を呼ぶ一方で、「この努力は本当に報われるのだろうか」という複雑な思いを抱く人も少なくない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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