中露艦隊が日本一周 沖ノ鳥島EEZで実弾射撃

2026/08/04 更新: 2026/08/04

中国とロシアの合同艦隊が、7月中旬から8月初めにかけて日本列島をほぼ一周した。8月2日夜から3日にかけて、中国海軍の3隻が対馬海峡を通って東シナ海へ抜けたことで、太平洋、オホーツク海、日本海を巡る一連の航行はした。この間、7月19日には中国艦が沖ノ鳥島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で実弾射撃を行った。防衛省がEEZ内での中国軍の射撃を公式に確認・発表したのは初めてである。

中露艦隊の航行ルートと対馬通過の意味

防衛省統合幕僚監部の8月3日の発表によると、海上自衛隊は8月2日午後9時ごろ、対馬(長崎県)の北東約50キロの海域で、南西へ進む中国海軍の艦艇3隻を確認した。3隻の内容は次の通りである。

– レンハイ級ミサイル駆逐艦(艦番号「103」)
– ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号「124」)
– フチ級補給艦(艦番号「903」)

3隻は2日から3日にかけて対馬海峡を通過し、東シナ海へ向かった。

統幕は、この3隻が7月16日から27日にロシア海軍のフリゲート艦(艦番号「343」)と一緒に日本周辺を航行していた艦艇と同じだとしている。両国の艦隊の動きを見ると、日本列島をぐるりと回るルートになっていたことが分かる。

 

今回の航行ルートは、東シナ海から宮古海峡を通って太平洋へ出て、列島の東側を北へ進み、宗谷海峡を通って日本海へ入り、最後に対馬海峡を通って東シナ海へ戻るというものだった。宗谷海峡を通った後、日本海を航行する間にロシア艦は別の行動を取ったとみられ、対馬海峡を通ったのは中国の3隻だけだった。

(防衛省)

なお、統幕の発表では艦の種類と艦番号のみが示されている。民間の分析では、艦名はレンハイ級「鞍山」(103)、ルーヤンⅢ級「開封」(124)、フチ級「可可西里湖」(903)、ロシア側は「レーズキィ」(343)とみられているが、これらは公式には確認されていない。

沖ノ鳥島EEZでの実弾射撃を確認

今回の一連の航行で最も注目されたのが、7月19日の実弾射撃である。

海上自衛隊は同日午前2時ごろ、沖ノ鳥島の南西約330キロの海域で、北東へ進む中国とロシアの艦艇4隻を確認した。その後、沖ノ鳥島の南西約180キロの日本のEEZ内で、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号124、「開封」とみられる)が射撃訓練を行ったことを確認した。射撃が機関銃によるものだった。船などへの被害は確認されていない。

この件を最初に明らかにしたのは、事案の翌日となる7月20日、イギリスのファンボローで開かれていた国際航空ショーで講演していた小泉進次郎防衛相である。小泉氏は「中国とロシアの海軍の艦艇が日本のEEZ内で実弾射撃を行った」と述べ、両国の軍事的な結びつきが強まっていると指摘した。EEZ内で中国海軍による射撃が明らかになるのは異例だ。

ただし、EEZは領海とは違い、他の国の船も自由に航行できる海域である。EEZ内で軍事訓練を行うことが、そのまま領海侵犯にあたるとは言えない、という指摘もある。

レンハイ級駆逐艦の能力と編成の狙い

今回参加した艦の中で特に注目されているのが、レンハイ級(中国での呼び方は055型)のミサイル駆逐艦である。満載時の排水量が1万トンを超え、中国海軍の中でも最大級の水上戦闘艦とされる。多数のミサイル発射装置を備え、空・海上・海中への対応力が高いとみられている。

これに、防空能力を高めたルーヤンⅢ級(052D型)駆逐艦と、遠くの海域で燃料や物資を補給できるフチ級補給艦が加わることで、艦隊は長い距離を長期間にわたって航行できたとみられる。

補給艦を伴った編隊であることから、中国海軍が沿岸の防衛だけでなく、遠い海域でも長く活動を続ける力を持っていることを示そうとしたとの見方がある。

台湾情勢と中露の戦略的意図

今回の行動について、専門家や報道機関はいくつかの狙いがあるとみている。

– 台湾情勢をにらんだ力の見せつけ:米軍などの介入を防ぐ力を示す狙いがあるとみられる

– 沖ノ鳥島のEEZの地位への圧力:日本がEEZの基準にしている沖ノ鳥島の法的な位置づけに圧力をかける狙いがあるとみられる

– 日本への政治的な圧力:台湾情勢をめぐる日中関係の緊張を背景にした示威行動とみられる

小泉防衛相は講演で、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は切り離せないと述べ、日本・イギリス・イタリアが共同で進める次期戦闘機の開発計画などを通じて、各国との連携を強めていく考えを示した。

日本の監視対応と今後の焦点

海上自衛隊は一連の航行の間、複数の護衛艦や哨戒機を使って中露の艦艇を追跡し、監視を続けた。8月2日から3日にかけての対馬海峡の通過では、佐世保のミサイル艇「しらたか」と、厚木のP-1哨戒機が警戒と監視、情報収集を担った。防衛省・自衛隊は、引き続き警戒と監視をしっかり行うとしている。

中国とロシアの軍による日本周辺での共同の行動は、ここ数年、爆撃機の共同飛行なども含めて増えている。今回のように補給艦を伴って列島を一周し、途中でEEZ内での実弾射撃まで行った例は、両国の連携が新しい段階に入りつつあることを示しているとみられる。台湾情勢と関連しながら、こうした行動が今後さらに増えるかどうか、注目が続く。

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