太陽光パネルのリサイクル 豪州の次の10億ドル産業に 業界トップが制度改革を提言

2026/08/27 更新: 2026/08/27

豪州で滞留する使用済み太陽光パネルの処理を進めるため、四つの柱からなる法制度の整備が不可欠だと、エンバイロストリーム・オーストラリアの最高経営責任者(CEO)が訴えた

 

エンバイロストリーム・オーストラリアのCEOは、豪州の太陽光パネル・リサイクル産業を将来にわたって存続可能なものにするには、連邦政府が四つの法制度改革を実施する必要があると述べた。

サイモン・リンジ氏によると、同社は豪州有数のリチウムイオン電池リサイクル企業で、BYD、LGエナジーソリューション、CATL、現代自動車、シグエナジー、フェラーリなどを法人顧客に持つ。

同社は顧客からの後押しを受け、太陽光パネルや風力発電機の永久磁石のリサイクルにも参入し、価値の高いレアアースなどの回収に取り組み始めている。

リンジ氏は、下院気候変動・エネルギー・環境・水委員会で次のように述べた。

「これまでに700万キログラムを超える電池を埋め立て処分せずに再資源化した。今年は電気自動車(EV)用電池2500個分に相当する量を処理する見込みだ。電池に含まれる資源を豪州国内の資源として回収することで、経済的価値を生み出すとともに、資源循環と持続可能性の向上にもつなげている」

豪下院気候変動・エネルギー・環境・水委員会で証言するエンバイロストリーム・オーストラリアのサイモン・リンジCEO(豪議会のライブ配信画面)

「電池と同様、太陽光パネルにも重要鉱物が含まれている。豪州国内でリサイクルすれば、国内の資源確保能力の強化につながる。回収が必要な物質には、銀、シリコン、アンチモン、銅などがある」

リンジ氏によると、電池リサイクル産業が豪州にもたらす経済効果は、2040年までに27億豪ドル(約2940億円)に達すると予測されている。

豪州電池リサイクル産業協会は、2050年までの経済効果を69億豪ドルと試算している。ただし、この数字には太陽光発電設備で使われるリチウムイオン電池だけでなく、あらゆる種類の電池が含まれている。

リンジ氏は「適切な制度を整えれば、電池リサイクル産業に予測される経済効果に匹敵するか、それを上回る太陽光パネルの再利用・リサイクル産業を確立できる」と述べた。

一方、こうした経済効果を実現するには、連邦政府が太陽光パネルのリサイクルを規制する現行法を改正する必要があると指摘した。

国内製か輸入品かを問わず、新しい太陽光パネルについて、使用開始から廃棄後まで追跡できる仕組みを設け、処分状況を把握するとともに、供給業者に責任を負わせる必要があるという。

太陽光パネルの埋め立て処分についても、法律で明確に禁止すべきだと訴えた。現時点で埋め立てを禁止しているのはビクトリア州だけである。

リンジ氏は「禁止措置がなければ、埋め立ては今後も最も容易な処分方法であり続け、再利用やリサイクルに必要な原料の確保を妨げる」と述べた。

エンバイロストリームは、使用済み太陽光パネルの輸出を全面的に禁止することも求めている。現在は再利用を目的とする場合に輸出が認められているが、豪州の電子廃棄物リサイクル業界では、実際には環境基準が低く、処理費用も安い海外でリサイクルされているとの見方が広がっている。

また、回収できる資源の市場価格がリサイクル費用を下回るため、太陽光パネルの処理に料金を課し、リサイクル企業が持続可能な事業を構築できるようにする必要があるという。

リンジ氏は「再生資源は天然資源から作られる材料より高価になる場合がある。そのため、例えば太陽光パネルから回収したガラスを道路の路盤材に使うなど、再生材の使用を義務付けることが重要だ。銀以外の素材も有効に利用できるようになる」と説明した。

「政府が今、こうした改革を実施すれば、豪州は再利用とリサイクルを巡る機会を生かすことができる」と述べた。

豪州技術科学工学アカデミー(ATSE)は、2035年までに使用済み太陽光パネルの廃棄量が年間10万トンを超え、2019年の18倍に増えると試算している。

同アカデミーも、全国的な製品管理制度の導入を支持している。

ニュージーランドを拠点とするレポーターで、ラジオや印刷物を含むメディアで40年以上の経験を持つ。現在はハット・ラジオのプレゼンター。
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