中国共産党(中共)当局の情報機関のために報告書を作成したオーストラリア人男性が、「無謀な外国干渉罪」で有罪となり、懲役3年6か月を言い渡された。
オーストラリア警察は9月10日、同国の実業家アレクサンダー・セルゴ(Alexander Csergo、58)が懲役3年6か月の判決を受けたと発表した。「無謀な外国干渉罪」で刑を言い渡された初のケースとなる。また、外国干渉に関する行為で有罪となったオーストラリア人としては2人目である。
セルゴは2023年、上海からシドニーに帰国した直後に逮捕された。当時、中共の情報機関から収集を求められた情報をまとめた「リスト」を所持していた。
検察によると、セルゴは中共の情報関係者から現金を受け取り、AUKUS(オーカス)の原子力潜水艦協定や、日本、アメリカ、オーストラリア、インドによるQuad(クアッド)、重要鉱物などに関する報告書を作成していた。今年3月、「無謀な外国干渉罪」で有罪評決を受けた。
シドニー中国語学校の林松校長は次のように述べた。
「今回のオーストラリアの判決は、明らかに中共のスパイ活動を念頭に置いたものだ。入手した情報がどれほどの量だったのか、公開情報だったのか、それとも実際の機密情報だったのかにかかわらず、以前より厳しい姿勢を取るようになった」
台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、今回の判決で重要なのは、情報自体が機密だったかどうかではないと指摘した。
「今回の判決で最も大きな意味を持つのは、有罪認定の核心が、情報そのものが機密だったかどうかではなく、被告の行為や意図が外国の情報機関を支援するものだったかどうかに置かれた点だ。つまり、機密情報でなくても、機微な情報であれば、外国情報機関を支援する行為や意図として判断の対象になる可能性がある」
セルゴは2021年11月、上海でデジタルマーケティングや広告事業に携わっていた際、LinkedInを通じて女性から連絡を受けた。女性は中国のシンクタンク関係者を名乗っていた。
その後、セルゴはKenとEvelynという偽名を使い、シンクタンク関係者を名乗る2人のために、鉱業、政治、国防、安全保障などをテーマとする調査報告書を作成した。
林氏は「こうした活動は、実際には何年も前から続いている。最初は公開情報を集めるだけだと言っていても、その後、少しずつ、より深い情報を求めてくる可能性がある。今回の判決は中共に一定の影響を与えるだろう」と語った。
検察は、この2人が中共の情報関係者だったとみている。セルゴとの接触は2021年から2023年まで続いた。
沈氏は、「彼は金銭を受け取り、人を入れないようにしたカフェで面会し、相手の身元に疑いがあると分かりながら協力していた。もはや問題は情報の内容ではなく、本人の行為にある。たとえ提供したものが公開情報でも、それに対して不釣り合いに高額な報酬を受け取り、それでも知らないふりをして協力を続ければ、同様に刑事責任を問われる可能性がある」と指摘した。
ニューサウスウェールズ州地方裁判所のクレイグ・スミス判事は10日の判決で、セルゴが2人を中共の情報関係者だと認識しながら、要求に応じてオーストラリアの国防態勢に関する虚偽の内容や盗用を含む報告書を作成したと指摘した。
林氏は、今回の判決には抑止効果があるとみている。
「今回の事件によって、中共に協力しようとする人に一定の抑止効果が生まれるだろう。ただ、中共がこれで活動をやめることはない。情報収集は続けるはずだが、その方法はさらに巧妙になる可能性がある」
沈氏は、西側諸国の防諜対策そのものが変化していると指摘した。
「今後の国家安全保障をめぐる攻防では、機密情報が漏れてから現行犯を捕まえるのではなく、関連するサプライチェーンや組織、人間関係、接触そのものを調べ、事前に遮断することが重要になる。オーストラリア保安情報機構(ASIO)など西側の防諜機関は、中国(中共)の情報網が学者や政府関係者に接触しようとしていることを把握すれば、法的措置を通じて警告したり、入国を拒否したり、場合によっては逮捕したりして、勧誘から情報収集に至る一連の流れを遮断する」
ASIOのマイク・バージェス長官は今回の事件について、中共の情報関係者が、オーストラリアの情報機関、首相府、国防部門、司法機関、シンクタンクに所属する人物や関連テーマを対象に、セルゴを使って干渉活動を行おうとしていたと指摘し、「オーストラリアの主権に対する攻撃だ」と述べた。
沈氏はさらに、米欧や同盟国の間で外国勢力による浸透への対策が急速に強化されていると説明した。
「ファイブ・アイズやヨーロッパの同盟国を中心に、浸透工作に共同で対処する法執行の枠組みが急速に広がり、深化している。各国は互いの法制度を参考にしている。例えば、オーストラリアが2018年に成立させた国家安全保障関連の法改正は、米欧各国が制度を整える際の参考例となっている」
オーストラリア警察は、外国からの干渉を防ぐうえで、国民一人ひとりが警戒意識を持つことが最も重要な防衛線になるとしている。
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