「あなたたちは、跪(ひざまず)くために生まれてきたんじゃない」
約1800年前の中国を舞台にしたこのセリフが、いま中国のネットで大きな共感を呼んでいる。
AIで制作された約26分の短編ドラマ『問蒼生』は、8月17日に中国の動画サイト「bilibili(ビリビリ)」で公開され、わずか5日で1000万再生を突破。26日までに1528万回を超えた。
舞台は、政治の腐敗や重い税に苦しむ人々が反乱を起こした後漢末期。
主人公の役人が各地で起きる不可解な事件を調べると、その背後にいたのは「妖怪」ではなく、厳しい政治に追い詰められた普通の人々だった。
真実を書けば、彼らは反逆者として処罰される。そこで主人公は、人々を守るため、あえて「妖怪の仕業」と記録していく。
物語はやがて、184年に始まった大規模な農民反乱「黄巾の乱」へとつながる。
反乱を率いる張角は、民衆にこう訴える。「あなたたちは、跪(ひざまず)くために生まれてきたんじゃない」
やがて反乱は鎮圧され、張角は「妖術を使った反逆者」として扱われる。
しかし劇中では、彼の最大の「妖術」をこう表現する。「運命を受け入れていた人々を、受け入れなくさせたこと」
中国のネットには「人を妖怪にしたのは世の中だ」「今の社会を言っているようだ」「テレビドラマでは描けないものをAIが作った」といった反応が相次いだ。
作品は黄巾の乱を下敷きにしたフィクションで、作者も実際の歴史を再現したものではないと説明している。
それでも、多くの視聴者が心を動かされたのは、歴史そのものではなく、物語に込められた言葉だった。
「あなたたちは、生まれながらに跪(ひざまず)くためにいるのではない」
そして、張角の最大の「妖術」は、奇跡を起こすことではなく、「運命だから仕方がない」と諦めていた人々を、もう諦めない人間に変えたことだった。
こうした描写は多くの視聴者の共感を呼び、ネットには「人を妖怪にしたのは世の中だ」「こんな世の中だから、人は妖怪にならざるを得なかった」といったコメントが相次いだ。
理不尽に耐え、「仕方がない」と諦めていた人々が、最後には「もう跪かない」と立ち上がる。1800年前を描いたその物語が、今の中国で1000万回以上再生され、多くの共感を集めている。
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