ロシアは、米スペースXの衛星通信網「スターリンク」に対抗するため、独自の低軌道(LEO)通信衛星網の構築を進めている。ただ、計画は相次ぐトラブルに見舞われている。
最新の追跡データによると、7月に打ち上げた第2陣の衛星16基は、いずれも予定していた軌道高度に達していない。このうち少なくとも2基は高度が下がり続けており、大気圏に再突入して焼失する恐れがある。
ロシアの民間宇宙企業「ビューロー1440」は、衛星通信網「ラスベット3」の構築を進めており、これまでに2回、衛星を打ち上げた。
第1陣の16基は2026年3月23日に、第2陣の16基は7月19日に、それぞれプレセツク宇宙基地から「ソユーズ2.1b」ロケットで打ち上げられた。
ロシアでは今年2月、違法に使用していたスターリンク端末が全面的に利用できなくなった。その後、クレムリンは「ラスベット計画」を国家の最優先事業の一つに位置づけた。
相次ぐ衛星トラブル
第1陣では、4号機(NORAD番号68363)が原因不明のトラブルで推進装置を作動できず、6月6日ごろに大気圏へ再突入し、焼失した。
第2陣でも異常が確認されている。
追跡データによると、一部の衛星はロケットから分離した後、予定されていた軌道上昇を行っていない。
少なくとも17号機と23号機は、平均高度が約290キロ、近地点が約277キロにとどまっている。現在も高度は下がり続けており、低下のペースも速まっている。
軌道を引き上げられなければ、最終的に大気圏へ再突入する可能性がある。
第2陣の衛星は現在、1基も目標とする高度800キロに達していない。3月に打ち上げた第1陣も、大半が高度500〜550キロを周回しており、一部は500キロを下回っている。
米誌「ニューズウィーク」によると、ワシントンのシンクタンク「民主主義防衛財団」のロシア担当副ディレクター、ジョン・ハーディ氏は、「現時点で、この計画の故障や失敗の割合は、スペースXの第1世代スターリンク衛星の初期段階を明らかに上回っている」と指摘した。
ロシア側はこれまで、トラブルの原因を明らかにしていない。
ウクライナ、ロケット製造拠点を攻撃
8月15日夜、ウクライナはFP-5フラミンゴ巡航ミサイルで、ロシア南西部サマラにあるプログレス・ロケット宇宙センターを攻撃した。
同施設は「ソユーズ2.1b」の主要な製造拠点で、「ラスベット3」の打ち上げにもこのロケットが使われている。
ウクライナ側の専門家は、今回の攻撃でロケットの生産が長期間滞れば、ビューロー1440が2027年末までに約300基の衛星を配備する計画に影響が出る可能性があると指摘している。
ほかの宇宙開発計画にも影響が広がる恐れがある。
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