メローニ政権 在任1413日で戦後最長 極右のイメージ覆し 欧米協調の「二重路線」

2026/09/04 更新: 2026/09/04

イタリアのジョルジャ・メローニ政権は9月4日、連続在任日数が1413日に達し、2001年に発足した故シルヴィオ・ベルルスコーニ氏の第2次政権を抜いて戦後最長となった。

長期政権を支えてきたのは、国内では右派支持層を意識してナショナリズムを掲げる一方、国際舞台では欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)との協調を続ける「ダブル・トラック(二重路線)戦略」である。メローニ氏は現実的な外交路線を取ることで、「極右」とみられていた当初の評価を変え、欧州政治の主要な担い手として存在感を高めてきた。

国内では右派色、外交では欧米協調

メローニ氏は国内の右派支持層に向け、国家や国境管理を重視する姿勢を維持している。特に移民管理を政権の看板政策に位置付け、不法移民の流入数を15万人台から6万人台へ減少させた。

一方、外交・安全保障では親EU・親NATO路線を一貫して維持している。ロシアによる侵攻を受けるウクライナへの支援を続け、この姿勢は中道派からも評価を得た。

国内向けの右派的な主張と国際社会での欧米協調を並行して進めることで、メローニ氏は支持基盤を保ちながら、国際的な信頼の確保を図ってきた。この実利を重視した二重路線が、政権の長期化と外交的地位の向上を支える要因となった。

仏独の指導力低下で存在感

フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相が、議会での求心力低下や極左・極右勢力の台頭によって国内政治上の問題に直面する中、メローニ氏はEU内で影響力を強めた。

主要7カ国(G7)首脳会議などでは、欧州内の意見を調整する橋渡し役として外交的な存在感を示した。フランスとドイツの指導力低下によって生じた空白を補い、EUの政策決定を左右する立場へ近づいた。

政治の安定が市場にも波及

長期政権による政治的安定は金融市場にも影響を与えている。長期政権による政治的安定の下、イタリア経済は着実な推移を見せている。

イタリア国立統計局(Istat)によると、2026年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.2%増、前年同期比1.0%増となった。失業率は2022年の8.1%から、2026年7月には5.8%まで低下した。

イタリア国立統計局(Istat)によると、2026年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.2%増、前年同期比1.0%増となった。失業率は2022年の8.1%から、2026年7月には5.8%まで低下している。2025年後半の輸出額は日本を上回り、ハイエンド機械やブランド消費財などの高付加価値製造業が輸出を支えた。

こうした経済と雇用の実績は政権の安定を下支えするとともに、メローニ氏が外交で積極的な立場を取る基盤となっている。

移民収容計画は司法判断で停滞

ただ、国内政策では課題も残る。地中海で救助した移民・難民をEU未加盟のアルバニアに設けた一時収容施設に送る計画は、現時点で望んだ成果を得られていない。計画が思うように進まない状況は、迅速で強力な対応を求める右派支持層の期待との間に隔たりを生むリスクをはらんでいる。

移民流入数を減少させた一方、計画の実施が進まない状況は、迅速で強力な対応を求める右派支持層の期待との隔たりを生んでいる。司法との対立が続けば、政権の実行力に対する支持層の評価にも影響する可能性がある。

右派内部で現実路線に反発

右派陣営内では、ロベルト・ヴァナッチ氏と同氏が率いる「Futuro Nazionale(国民の未来)」の台頭が注目されている。欧州内では、同氏がメローニ氏の権力維持を脅かす『ロシアのトロイの木馬』になり得るとして、ロシアによるハイブリッド工作や政治介入への懸念とともに警戒感が高まっている。

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