米カリフォルニア州で不動産仲介業を営む張婉瑩被告(34)が、中国共産党側の指示を受け、台湾の頼清徳総統の長男、頼廷与氏を監視する活動に関与した疑いで逮捕された事件を巡り、米当局が中国による米国内での情報活動を強く非難している。
米連邦捜査局(FBI)のパテル長官は、米国内で台湾関係者の家族を監視する行為を「大きな過ち」と非難し、「米国はあなたたちの遊び場ではない」と警告した。
パテル長官は事件を受け、相次いで声明を発表した。2度目の声明では、米国内で頼氏の家族を監視する活動について厳しく批判し、外国勢力による活動を容認しない姿勢を鮮明にした。
ニューハンプシャー州下院議長のパッカード氏も声明を出し、中国・北京が米国領内で台湾の政府関係者やその家族を監視することは容認できないと非難した。米国内で行われるこうしたスパイ活動を許してはならないとの考えを示した。
事件を巡っては、台湾総統府も警戒を強めている。
卓栄泰行政院長は、中共による活動について「国際社会における最大のタブー」を犯すものだと批判。「人権を脅かす越境弾圧」が現実の問題になっているとして、政府機関だけでなく国民や各団体に対しても安全確保に十分注意するよう呼びかけた。
卓氏は「サイバーセキュリティーだけでなく、身の安全などあらゆる面で警戒をより高めていかなければならない」と述べ、官民が一体となって主権と安全を守る必要性を強調した。
FBIによると、張被告は北京国際関係学院を卒業している。同校は中共の国家安全部と密接な関係があるとされる。また、張被告は少なくとも2人の中共関係者とみられる人物と連絡を取っていたという。
張被告は事件後、上海へ逃亡しようとしていたところを逮捕された。4日午後にはカリフォルニア州の裁判所に出廷した。
中共側の情報活動を巡っては、台湾の医師で作家の蔡依橙氏もSNSへの投稿で見解を示している。蔡氏は、中共が世界規模の情報収集活動で、専門の工作員だけでなく、「安価で、管理しやすい」末端の情報提供者を利用するようになっていると指摘する。
一方で、こうした活動は専門性が低いことから発覚しやすいとも指摘。協力者が逮捕された場合、中共側は直ちに関係を断ち、弁護士費用を負担したり、その後に連絡を取ったりすることはないと主張している。
蔡氏は、こうした協力者について「いつでも利用できる駒であると同時に、いつでも捨てられる奴隷でもある」と指摘している。
今回の事件を受け、米国と台湾では、中共による越境的な情報活動への警戒が改めて強まっている。
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