カリフォルニア州の中国系不動産仲介業者、張婉瑩(ワンイン・チャン)が中国共産党(中共)政府のために情報活動を行った疑いで逮捕された。事件を受け、過去に中共のスパイと疑われた方芳(ファン・ファン、英名クリスティン・ファン)との共通点にも関心が集まっている。
二人はいずれも北京の国際関係学院で学び、海外の華人団体で活動していた。ただ、活動手法には違いがあった。
張婉瑩は10月4日、ロサンゼルス国際空港で逮捕され、米連邦当局から刑事訴追を受けている。検察側によると、2025年に中共政府当局者の指示を受け、米国北西部に住む台湾の頼清徳総統の家族を監視した疑いがある。
住所の特定や住宅、車両の撮影などを行い、収集した情報を中国側に伝えた。
時事評論家の鄭浩昌氏は、「張婉瑩の事件は統一戦線工作というより、スパイ活動による浸透の色合いが強い。張婉瑩と方芳はいずれも国家安全部門との関係が指摘され、海外へ送り込まれた」と述べた。
政界との人脈づくりと情報収集
方芳は、中共の情報機関との関係を疑われた中国人女性である。
留学生として渡米し、2011~15年ごろ、カリフォルニア州を中心に政治家との人脈を広げた。中国系米国人の政治団体にも関わり、当時地方議員だったエリック・スウォルウェル元下院議員をはじめ、地方政治家や連邦議員らに接近したとされる。
米情報当局者らの証言によると、方芳は一部の政治家とは親密な関係を持っていた。
一方、張婉瑩は不動産仲介業者として生活する傍ら、住所の特定や住宅、車両の撮影など、対象を絞った情報収集を行った疑いが持たれている。
さらに、張婉瑩はYouTubeで1億人を超える登録者を持つインフルエンサーに接触し、中国への訪問を持ちかけた。
ネット上では公開情報を基に対象人物を推測する声も出ているが、捜査当局は身元を明らかにしていない。
方芳が政界での人脈づくりを重視したのに対し、張婉瑩は情報収集やインフルエンサーへの接触に重点を置いていたとみられている。
「手法は複雑化している」
時事評論家の藍述氏は、中共による海外での活動について、「実際に使われる経路や手法は非常に複雑だ」と指摘した。
「統一戦線工作部や中央対外連絡部のほか、中共の外交機関、軍事機関、報道機関など、さまざまなルートと手法が使われている」
さらに、働きかけの対象は海外の華人に限らず、米国人やその他の西側諸国の人々にも及ぶと述べた。
そのうえで藍氏は、海外で暮らす華人に対し、「中共に取り込まれ、その活動の道具となり、自分たちが日々享受している自由や民主主義の権利を自ら壊すようなことがあってはならない」と訴えた。
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