【大紀元日本10月5日】数十万人の武装警察、140万人の市民警備、ロケット弾432発の人工消雨作業。将兵8千人、車両500台の閲兵式。新中国60周年記念日の成功のために、昨年の北京五輪開幕式を上回る巨資が投入され、万全の策が尽くされた。その狙いは、世界に「富国強兵」の中国を見せるためである。しかし、自由国家のメディアに伝わったのは、60周年のこの記念日は、人民の建国記念ではなく、共産党が中国を統治した60周年の記念パーティだった。
「社会主義中国は世界の東方に高くそびえ立っている」。人民服を着た胡錦濤国家主席は1日の祝賀行事で、毛沢東の肖像を飾る天安門楼閣からこのように演説を行った。威信を示す閲兵では、胡錦濤主席は兵士に「同志諸君、ご苦労様」と挨拶、兵士は毛沢東語録にあるスローガン「人民のために奉仕する」と一斉応じた。
約10万人が参加したパレードでは、「党へ忠誠を尽くせ」、「社会主義は良い」などのマスゲームの人文字、「毛沢東思想万歳」などの政治的スローガンが続いた。
この式典の光景について、ニューヨークタイムズは、冷戦時代の前ソ連の軍事パレードや北朝鮮のパレード場面を連想させるほかなかったとコメントした。
ニューヨークタイムズは、このようなスローガンは、退屈でつまらない宣伝だと批判した。また、北京の人民大学教授張明氏の話を引用した。「中国はすでにイデオロギーがなくなった。政府も人民も思想がなくなった。政府がまだ政権を握っているのは、人民によい生活を与えると約束したから。しかしある日、もし民衆が、当局は彼らによい生活を提供できないと気づいたら、中国では何が起きるだろうか」
国の財力を尽くして行ったこの軍事パフォーマンスのターゲットは、中国の民衆及び7500万の共産党党員。共産党の統治によって中国が強大になったと説得したかったのだ、とニューヨークタイムズは報道した。
一方、豪州の多くのメディアは、10月1日の祝賀行事について、「国慶節」と呼ばず、「共産主義統治の祝い」と名づけて報道した。
共産党当局が「国慶節」と名づけるこの記念日に、パレードで“展示”された国家機器としての構成メンバーを除き、人民の姿が消えていたと豪州のメディアは批判した。天安門広場を中心とする北京市中心部は、街に人影がなく、沿道の建物も窓が閉じられていた。市民らは、家でおとなしくテレビでパレードの様子を鑑賞するよう通達されたという。
その日のために、「紫禁(しきん)城」(明清朝の王宮、現在の故宮博物院)を中心とする北京の市街は、確かに「禁止(きんし)城」となっていた。毎回のリハーサルで、地下鉄が閉鎖され、店と学校が閉められ、ハトさえも空での飛翔が禁止され、店でナイフの販売も禁じられていた。
式典当日は、雨と霧さえも許されなかった。近づいてきた雨に対して、中国の空軍がロケット弾432発を打ち出し、人工消雨作業で青空を確保した。
英紙タイムズは、10月1日の北京市を戦争中の町に例えた。9月30日夕方には、街頭から人影が消え、武器を装備する軍人と警察しかいなかったという。
ドイツのメディアからも批判の声が続出した。ドイツ日報記者の北京発の報道では、当局を「壮健な臆病者」と呼び、60周年の祝賀式典は、中共が自信を欠いていることを示したと指摘。ドイツ日報の取材に応じた作家廖亦武氏は、ウイグル族もチベット人も、多くの漢族さえも、「彼ら(当局)の祝いであり、私とは無関係だ」と思っていると話した。
また、AFP通信は、中共政権60周年を迎え、経済発展しているように見えた中国は、実は多くの危機に直面していると指摘した。群衆事件が激増し、民族衝突が相次ぐ中、還暦を迎えた中共は、すでに政権が脅かされていることが伺えるという。
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