インド、印中国境紛争地帯で鉄道3本建設へ 中国のインフラ強化をけん制

2011/08/15 更新: 2011/08/15

【大紀元日本8月15日】インド政府は今月初め、同国北東部ヒマラヤ山脈周辺にある中国との国境紛争地帯に、3本の鉄道を建設すると発表した。

5日付インド紙「インディアン・エクスプレス」(電子版)によると、この新設される鉄道は、中国が印中国境周辺のインフラ整備を推し進めるのをけん制することを目的とした、インドの戦略的インフラだという。

インド連邦議会の国防委員会によると、この3本の路線は同国北東部に位置するアッサム州と、中国西南部に接するアルナーチャル・プラデーシュ州を結ぶ。後者は長年、中国がその大半の領有を主張している地域だ。

インドは、国境周辺で中国が73もの道路整備、数本の鉄道整備を開始していることを把握している。鉄道建設発表において、サットパル・マハラジ会長は、「(インフラ整備について)我々もそうしなければならない」と述べ、今回の鉄道建設に戦略的意図があることを示唆した。

印中国境4057キロの実質的な防衛において、同委員会は「戦略的に重要なインフラ」と位置づけた3本の鉄道建設に加え、常備兵の配備も計画に含まれている。

インド国防省高官によると、印中国境のアルナーチャル・プラデーシュ州周辺はインフラ設置には向いていない、整備困難な地形であるという。中国がインフラ整備を進めていることについて、「インド側の地形は(山脈近くで)非常に険しいのに対し、中国側にはチベット台地があるので優位になっている」と話した。

新設される3本の鉄道のうち、インドの主要な軍事基地への交通手段となるタワン線をインド軍は非常に重要視している。

チベット紙パユールによると、1959~1962年の印中国境紛争以来、両国の国境問題は長期間棚上げされた状態にある。しかし、1998年、元インド防衛省ジョージ・フェルナンデス大臣が公然と中国について、「インドの一番の敵」と呼んでおり、同国にとって敵国とされているパキスタンよりも、中国は脅威的な存在としてインド軍に意識されている。

(翻訳編集・佐渡 道世)