国際制裁を受けながらも核開発、ミサイル発射を止めない北朝鮮へ強硬な対応を迫る米トランプ政権。これに対して、習近平主席は表向きには「(北朝鮮問題は)対話による平和的解決を」と従来の見解を繰り返しながら、朝鮮半島への米空母艦隊の派遣を批判することなく、「曖昧な態度」をみせる。なぜそうするのか。専門家らの見解をまじえて分析する。
中国最高指導部内 北朝鮮問題に意見割れか
習近平陣営と対立する江沢民派の対北朝鮮の温度差は歴然だ。
2012年まで政権の主導権を握っていた江沢民派が、今日にいたっても、北朝鮮と親密な関係を保っている。1989年、江沢民氏が党のトップに就任早々、一番先に訪問した国は北朝鮮だった。また、北朝鮮を歴訪した中国共産党政権の高官のほとんどは江派のメンバーである。
一方、習近平氏は党のトップになってから北朝鮮を一度も訪問せず、金正恩委員長の訪中も受け入れていない。習・金氏の「冷淡な関係」について韓国メディアは報じている。それによると、今年3月のミサイル発射直後、習近平氏は北朝鮮に特使を派遣しようと打診したが、金正恩氏は返事もせずに無視し、事実上拒否した。
大紀元本部の政治評論家の見方では、習氏はトランプ氏との会談で、北朝鮮問題における米国の行動を「暗黙に了解する方針」を伝えた。習氏自身、判断を迷っているためだという。
曖昧な態度をとらざるを得ない理由は、金正恩政権の延命を望む江沢民派勢力からは、対北問題での米中協力には反対すると予想される。いっぽうで、北朝鮮の情勢に、さらなる不安定要素が江沢民派によりもたらされれば、中国の不利益につながる。
習近平主席との初会談の約1週間後、トランプ大統領は、選挙中から宣言してきた中国の為替操作国認定を先送りにした。理由の一つは、北朝鮮問題で中国の協力を得るためだと大統領は明言した。この一件からも、水面下では、習近平氏がトランプ氏に歩み寄っていると考えられる。
一方、香港紙『経済日報』は12日付で、習近平氏がトランプ氏に条件を突き付けたと報じている。同紙によると、米中首脳会談が終了した当日、トランプ氏は黄教安(ファン・ギョアン)韓国大統領権限代行首相との電話会談で、中国が北朝鮮問題を解決するにあたって、次の3つの条件を提示したことを伝えた。▽北朝鮮核施設への攻撃は、国境地帯の中国東北地区への核汚染を避けること ▽中国は北朝鮮から押し寄せる難民を受け入れないこと ▽金正恩政権崩壊後の北朝鮮を、アメリカが実効支配しないこと、米軍が駐在しないこと。
(翻訳編集・叶清)
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