ロシア政府はこのほど、中国当局に対して最先端の超長距離地対空ミサイルシステム「S-400」を引き渡し始めた。専門家は、中国側がS-400を配備した後、台湾全土を射程圏内に設定する可能性が高いと指摘した。
ロシア国営イタルタス通信(18日付)によると、ロシア政府の情報筋はこのほど、ロシア当局が中国に対してS-400の統制所やレーダー基地、燃料供給設備など一部の装備を中国に輸送したと話した。
中国は2014年、同ミサイルシステムの購入についてロシア政府と協議していた。17年12月、ロシアの巨大国策企業ロステフノロギヤ(Rostec)のセルゲイ・チェメゾフ・最高経営責任者(CEO)は、中国に対してS-400の納品が近いと述べた。
イタルタス通信は、17年ロシア政府は、中国軍関係者に対してS-400の使用訓練の協力をした。
S-400の最大射程距離は400キロ、最高飛行高度185キロ。射程600キロ以内の航空機、巡航ミサイルや弾道ミサイルを撃墜することが可能。また、同レーダーシステムは700キロ以内の300の標的を追跡できるとされている。
中国側は来年までにS-400の導入を終了させる計画だ。
独メディア・ドイチェベレ(18日付)によると、台湾にいる米軍事評論家のウェンデル・ミニック(Wendell Minnick)氏は、中国のS-400配備は台湾の安全保障にとって大きな脅威となる、との懸念を示した。
中国当局はすでに、S-400の前身であるS-300システムを台湾北部を射程圏内に配備している。S-400の配備では、全台湾が射程圏内におさめられる。
過去1年間、中国軍は台湾海峡を頻繁に巡航していた。同氏は、中国軍が台湾本島と周辺地域の上空領空権を掌握しようとする狙いがあると指摘した。
また、同氏によると、中国軍が沿岸部でS-400を配備した後、台中両軍が軍事衝突となれば、台湾軍の米製F-16戦闘機や仏製ミラージュ2000戦闘機などハイテク兵器が攻撃の標的となる。
一方、台湾政府は昨年6月末、米国から総額14億ドル(約1549億ドル)の武器を購入した。米トランプ政権発足後、初めての対台武器売却となった。台湾国防部は、「台湾海峡の平和の維持につながり、心から感謝する」とのコメントをした。
(翻訳編集・張哲)
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