中国当局が支配を強める香港では、政治環境を懸念して台湾に移民する市民が増えている。米ボイス・オフ・アメリカ(VOA)が2日伝えた。
同報道によると、台湾政府の統計では、2016年12月まで、台湾に移民した香港とマカオの出身者はのべ7万1263人に達した。台湾政府は、過去香港で大きな政治事件が発生し、香港政府が親中的な態度を見せるたびに、台湾に移民する市民が増えるとの傾向がある、とした。
今年の年明け以降、香港政府がまた民主化運動を封じ込める動きがあった。元日に、数千人の市民が民主化を求めるデモ行進を行ったが、警察当局が一部の集会に制限を設けた。
また1月下旬に、政治政党「香港衆志」創設者の一人、22歳の周庭氏(アグネス・チョウ氏)が立法会議員補欠選挙に出馬したが、当局が周氏の立候補を認めないとした。周庭氏は2014年の大規模な民主化運動「雨傘運動」でリーダーシップを発揮し、「学民の女神」と呼ばれている。
さらに、香港出身でスウェーデン国籍の書店オーナー、桂敏海氏が同月20日、スウェーデン領事館関係者と北京へ向かう途中、当局に連行された。
台湾台北市にある政治リスク調査会社「e-telligence」は米VOAに対して、香港の政治不安定が原因で、今後香港市民の台湾移住ブームは続くとの見方を示した。
すでに台湾に移住した香港人経営者によると、結婚や留学のほかに、台湾での在留資格を獲得するには、投資額600万台湾ドル(約2220万円)で会社を設立する必要がある。「台湾ではよりよい言論自由の環境がある」と移民の動機を語った。
1997年香港が中国返還前後、香港の「共産党化」を懸念した多くの香港市民はカナダ、欧州、台湾などに移民した。
97年以降の4年間に、台湾政府は約5100人の香港人に長期滞在を認可した。
また、台湾移民当局によると、「雨傘運動」があった翌年の9月と10月だけで、香港・マカオ市民による居住申請が約3930件に上った。
台湾に移住する動機は言論の自由のほか、「同じ中華文化圏」「飛行機で1時間半で香港まで行ける」「台北の住宅価格は香港の約半分だ」などが挙げられた。
(翻訳編集・張哲)
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