中国念頭に 市場歪曲にどう対抗するか協議 WTOルール見直し=日米EU貿易会合

2018/09/26 更新: 2018/09/26

9月25日、世耕経済産業大臣が議長を務める日本、米国と欧州連合(EU)貿易担当代表による三極貿易大臣会合がニューヨークで開かれた。中国を念頭にした強制技術移転、政府補助金問題についてあらめて懸念を表明し、世界貿易機関(WTO)のルール見直しを協議した。

ライトハイザー米通商代表とマルムストローム貿易担当欧州委員とともに行われた三極会合は、過去10カ月で4回を数えた。世耕大臣によると、2017年12月、日本の呼び掛けで始まった会合だという。

「第三国による市場歪曲措置にどう対抗するか?毎回踏み込んだ議論を行っている」世耕経産相はSNSで語った。経済産業省によると、3閣僚は、5月に行われた第3回会合で合意した、補助金ルール、強制技術移転、市場志向の条件の3つの分野で、進捗(しんちょく)や評価、今後の進め方について議論した。

同日に発表された3閣僚による共同声明によると、国の産業補助金を強みとする国営企業が、国際市場に参画することは「農家、生産者、労働者に負の影響とゆがみをもたらす」として、これを是正するために公正な競争条件を確保していく重要性を確認した。

第三国による市場歪曲につながる補助金の具体例として、「暗黙の政府保証によるものを含む企業の信用と両立しない国有銀行による貸し出し」「政府または政府の支配下にある非商業的な投資ファンドによる出資」「非商業的なデッ ド・エクイティ・スワップ」「二重価格を含む優先的な投入価格」「信頼できる再建計画のない企業への補助金」「過剰供給につながるまたは維持する補助金」などを挙げた。

強制技術移転の政策に対する懸念

また3閣僚は共同声明で、外国企業から国内企業への技術移転を要求また圧力を掛けてはならないとの共通した見解を再認識し、遺憾の意を表明した。強制技術移転の政策や措置について、ルール作りのための議論の深化と、実態の調査分析を進めることで合意した。

ほかにも、機密情報へ不正アクセスして盗み出し、自国の商業に利用する政治活動を批判した。3閣僚は、WTO改革の第一歩として、透明性と補助金の通報についての共同提案を行うことで合意した。

声明では、自国を「発展途上国」と宣言する国を含め、広すぎる「発展途上国」の分類が、WTOの貿易交渉能力を制限し、合意効果を阻害していると指摘。3閣僚は、途上国だと主張する先進的なWTO加盟国が、WTO交渉で完全な約束を引き受けるよう呼び掛けた。

ほか、輸出信用に関する国際作業部会(IWG)における、新たなガイドラインについて、2019年早期の策定に向けた三極の連携に言及した。

市場歪曲的措置に対処するため、3閣僚はG7、G20、OECDなどの国際フォーラムや、鉄鋼等の分野別イニシアティブにおける協力を再確認した。 

(編集・佐渡道世)

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