シリアのアサド前大統領らに死刑判決 本人は裁判を欠席

2026/08/12 更新: 2026/08/12

シリアの首都ダマスカスの裁判所は11日、アサド前大統領と弟のマヘル・アサドに死刑を言い渡した。約14年に及んだシリア内戦の期間中、故意の殺人や拷問、恣意的な拘束、人道に対する罪などを犯したと認定した。

アサド氏は現在ロシアに滞在し、弟もシリア国外に逃れているため、裁判は被告不在のまま開かれた。2024年12月、反政府武装勢力が攻勢を開始すると、わずか11日でアサド政権は崩壊。アサドと弟は首都ダマスカスを離れ、アサド氏はロシアに逃れて政治亡命を認められ、現在はモスクワに居住している。

弟のマヘル氏はロシアに逃れた後、消息不明となっている。

アサド政権崩壊後の今年4月、シリア暫定政府は旧政権の「中枢人物」を対象とする公開裁判を開始した。今回の判決は、シリア司法当局がアサドについて有罪判決を下した初めてのケースとなる。アサドは2000年、父ハフィズ・アサドの死去を受けて大統領に就任し、長期にわたりシリアの政権を掌握してきた。

2011年、シリアでは「アラブの春」を背景に反政府デモが発生した。アサドと弟のマヘルは抗議運動の弾圧を主導。マヘルは、過酷な弾圧で知られた第4師団を指揮し、政権の最高幹部の一人として治安政策を担った。

政府軍による住民の殺害や逮捕、拷問が相次ぎ、国内の反発は急速に拡大した。平和的な抗議運動は武装闘争へと発展し、約14年に及ぶ内戦に突入。戦闘や弾圧による死者は約50万人に上ったとされる。

同じ事件では、旧シリア治安当局者でアサドのいとこに当たるアテフ・ナジブにも死刑が言い渡された。判決公判でナジブは囚人服を着て厳重な警備の下、鉄格子の中に立ち、裁判官による判決の読み上げを聞いた。

ナジブは昨年1月に拘束された。かつて南部ダラア県の政治保安部門の責任者を務め、今回出廷した旧政権幹部の中でも最高位の一人だった。2011年に同県で起きた反政府デモの弾圧で重要な役割を果たしたとして訴追されていた。

裁判所はナジブについて、殺人や「15歳未満の子どもの故意の殺害」、拷問による死亡など複数の罪を認定。これらの行為は人道に対する罪に当たるとして、「最も厳しい刑罰」を科した。

ロシアは現在もアサドを庇護している。シリアの新政府が判決を執行するには、まずロシアに対してアサドの引き渡しを求める必要があり、実際の執行には大きな壁が立ちはだかる。

もっとも、今回の判決は死刑執行の実現性よりも、長期独裁政権下で行われた人権侵害について、シリアの司法当局が旧政権の最高指導者を正式に裁いたという政治的・象徴的意味が大きいとみられている。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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