香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは6月1日、台湾の製造委託会社フォックスコン(鴻海)が、ファーウェイのスマートフォンの生産ラインを複数停止したと報じた。米トランプ政権の禁輸措置でファーウェイからの受注減が原因とみられる。
アジア太平洋地域の金融サービスグループTF 国際安全の分析者ミン・チークオ氏は同日、米国の禁輸により、ファーウェイのスマートフォン販売台数が毎月、約800万〜1000万台減少すると予測した。
米商務省による実質上の禁輸措置は8月中旬から施行される。その後、ファーウェイは米国企業からハイテク部品を調達できなくなり、販売台数はさらに著しく落ちるとみられる。
米国の調査会社ガートナーによると、2019年第1四半期に、ファーウェイは5840万台のスマートフォンを販売し、サムソンの7160万台には及ばないが、アップルの4457万台を超えた。
ファーウェイのスマートフォンは、約10%のみが自社製造で、他の90%は鴻海、Flex、中国の自動車メーカーBYDが組み立てを請け負っている。Flexは中国とインドの工場でファーウェイの携帯電話を製造している。
同紙によると、匿名の情報筋は、生産ラインの停止は一時的なものか長期的なものか、不明だという。
鴻海の郭台銘会長は6月3日、台北市での記者会見で、生産ラインの一時停止について聞かれたが、具体的なコメントを避けた。「鴻海は、ファーウェイ(禁輸)の影響を受けている多くの企業のひとつ」とだけ述べた。
日本経済新聞は、シンガポール拠点の米ナスダック上場企業Flexが5月23日、ファーウェイの携帯や電子機器の製造を中止したと報じた。
中国ポータルサイト搜狐6月4日付けによれば、Flexがファーウェイのスマートフォンの約30%を、主に広東省珠海市の工場で製造している。報道によると、目撃者は、ファーウェイは5月20日にFlex珠海から電子機器の材料を、約100台のトラックに乗せて、運び出したという。また、同月22日には、Flex珠海の一部施設は稼働停止したという。
搜狐は、運び出した材料で、ファーウェイは受託ではなく、自身の会社で生産を行うようになると報じた。
海外の通信大手も、ファーウェイとの取引を見直している。これまで、日本の通信キャリア3大手、ドコモ、ソフトバンク、KDDI(au)はそれぞれ、ファーウェイの新製品P30の販売延期を発表した。英国のEE、ボーダフォン、台湾の中華電信なども、販売を見送った。
グーグルは5月19日、ファーウェイとの一部ビジネスを停止したと、事業中断を発表した。これまでのところ、クアルコム、Intel、Broadcom、Xilinx、Qorvo、Lumentum、Synopsys、Infineon、ARM、東芝、およびその他のサプライヤーは、米国の禁輸令に伴い、ファーウェイとの事業中断を発表した。
調査会社によると、ヨーロッパ、日本、台湾では、ファーウェイの中古スマートフォンの価格が劇的に下がった。
市場調査会社Canalysの英国を拠点とするアナリスト、ベン・スタントン氏は6月4日、Huawei社のデバイスに対する消費者の需要を「崖から転落したよう」と形容した。ブルームバーグは、米トランプ政権が禁輸を発表した後、ファーウェイのプレミアムスマートフォンの売り上げが最初の1週間で20%減少したと報じた。
(編集・佐渡道世)
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