中国、台湾の貿易制限調査 台湾総統選を見据えた圧力か

2023/04/14 更新: 2024/01/11

中国商務省は12日、台湾による中国の農産物などを対象とした輸入制限に対する調査を行うと発表した。今回の調査は、台湾の蔡英文総統の訪米に対する「報復措置」の一環であると同時に、「台湾総統選に影響を与える狙いもある」と米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)13日付は報じている。

調査期間は今年10月12日までと予定されているが、「特別な事情がある場合」は最長来年1月12日(台湾総統選の前日)まで延長する。

昨年8月のペロシ米下院議長の台湾訪問後、中国当局は報復措置として台湾周辺で大規模軍事演習を行うほか、台湾食品の約100種類を禁輸とした。今回の調査ののち、中国は禁輸品目を追加するなどさらなる措置を講じる可能性もある。

台湾の王美花経済相は13日、立法院(国会)で、この件をめぐり、世界貿易機関(WTO)の一員として中国側と交渉する意思があると述べている。

台湾の弁護士である頼中強氏はRFAに対して、中国は経済的圧力を政治的手段として利用していると批判した。また昨今の両岸の緊張状態から、台湾にはWTOの定める国家安全保障例外規定を使い、自国の利益を守るために対中貿易制限を課すことの正当性を保つことができると指摘した。

WTO加盟国は自国の安全保障上の理由から、通常の規定で禁止されている貿易措置を取ることが許可される特例規定。これは緊急事態や安全保障上の懸念が生じた時に講じることができる。

中国政府は長年にわたり台湾を「不可分の領土」と主張しており、台湾との接近を阻むよう友好国を牽制してきた。例えば、昨年には台湾の代表機関開設を承認したリトアニアに対して同国からの輸入制限したり、中国とリトアニアを結ぶ直行貨物列車の運行を取りやめたりするなどの報復を行った。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 台湾・香港